• 大切な鉄のフライパンがこげついた、木のお皿が欠けてしまった。そんなとき、自分ですぐにお直しができたら、安心でうれしいもの。ひとり問屋の日野明子さんに、困ったときの対処法について伺いました。今回は、日野さんおすすめのお手入れアイテムについて。
    (『天然生活』2017年12月号掲載)

    台所道具を美しく育てる、お手入れアイテム

    台所道具をきれいに育てるためには、日々のお手入れが肝心。日野さんおすすめの9つのアイテムを紹介します。

    スポンジ

    画像: スポンジ

    多くの道具は、ナイロンスポンジに中性洗剤をつけて洗うのが基本。黒ずんだステンレスの鍋底を洗うときなどは、研磨効果のある硬めのナイロンたわしがよいので、表裏2層式のスポンジがいい。

    たわし

    画像: たわし

    「私は棕櫚(しゅろ)のたわし派。これで鉄のフライパンも白木のおひつも洗います」と日野さん。棕櫚は温暖な地域に生育する木の樹皮。ほどよい柔らかさで道具を傷つけず、汚れをすっきり取り除く。

    スチールたわし

    画像: スチールたわし

    鉄鍋がこげついたとき、銅の鍋底が黒く着色したときなどは、金属製のたわしが活躍。頑固な汚れにはイラストのような金属たわしを、細かい汚れにはスチールウールの金属たわしを使って。

    びわこふきん

    画像: びわこふきん

    漆器を洗う際は、洗剤を使わないほうが、つやが出る。また、ナイロンスポンジより天然繊維のものがよい。最適なのは、綿を粗く編んだ「びわこふきん」。スポンジ代わりにして、やさしく洗って。

    竹のおろしばけ

    画像: 竹のおろしばけ

    おろし金に残った薬味を取り除いたり、すり鉢の細かい溝を掃除したりするときに便利なのが竹のおろしばけ。はけを洗うときは、水につけっぱなしにせず、さっと水洗いしたらよく乾燥させて。

    砥石

    画像: 砥石

    包丁を研ぐための砥石は、本来、荒砥石、中砥石、仕上げ砥石の3つ欲しいところ。荒砥石は、中砥・仕上げ砥の砥ぎ癖がついた砥石面を修正する役目もある。専門店の方に相談しながら選ぶのも手。

    歯ブラシ

    画像: 歯ブラシ

    せいろの編み目部分や、かご、ざるの目の汚れ落としにおすすめなのが、柔らかめの歯ブラシ。ブラシですき間をこすって水洗いを。竹がカビた場合は、クレンザーをかけてから、こすり洗いを。

    新聞紙

    画像: 新聞紙

    銅鍋や鉄のフライパンなど、たまにしか使わない道具をしまうときは、湿気をほどよく吸い取ってくれる新聞紙に包んでからしまうのがいい。包んでいる新聞紙は、たまに交換すればなおよし。

    クレンザー

    画像: クレンザー

    曲げわっぱなど、木の道具全般には粉クレンザーがおすすめ。とくに、まな板を洗うときなどは、粉クレンザーが最適。たわしでこすり洗いをし、粉を残さないようにしっかり水で流すこと。

    ◇ ◇ ◇

    台所道具を慈しむ日野さんがよくおっしゃるのは、「自分が台所道具になったつもりで考えてみて」

    もし自分が漆のお椀なら、ナイロンのたわしでこすられるより、肌当たりのよいびわこふきんでふわっと洗ってほしい。木のまな板だったら、なんとなく液体洗剤が残ってる? と感じるのはいや。棕櫚のたわしと粉クレンザーで、さっぱりごしごし水洗いしてほしい。

    そんなふうに考えると、台所道具とのつきあいもますますゆかいで、気軽なものに。

    「素材の性質や素材同士の相性、お手入れの仕方がわかってくると、道具を使うのが楽しくなり、それが自然に“使い込む”ことにつながっていきます。トラブルがあっても、おっかなびっくりしなくて大丈夫。道具は思いのほか、おおらかです



    〈監修/日野明子 取材・文/宇野津暢子 イラスト/今井夏子〉

    日野明子(ひの・あきこ)
    「スタジオ木瓜」代表。“ひとり問屋”として各地の工房や工場をめぐり、百貨店・店と作家・産地をつないでいる。生活用具の展示会やプロデュースにも携わる。著書に『台所道具を一生ものにする手入れ術』(誠文堂新光社)など。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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