(『サステイナブルに暮らしたい』より)
生ごみは土に還す。土がすべて受け止めてくれる
生ごみは、燃えるごみには出さず、必ず土に還します。
使いやすいのはコンポストですが、ただ土に埋めるだけでも、微生物が自然の力で跡形もなく分解してくれます。ごみは激減しますし、何よりごみ箱がにおわなくなり、とても快適です。
生ごみは、出た直後はただの「野菜くず」や「料理の残り」。きれいなうちにコンポストに入れてしまえば、三角コーナーのぬめりともおさらばです。
よく「骨は入れてはいけない」とか「玉ねぎの皮は分解しない」などと言われますが、それは分解に時間がかかるというだけのこと。
わが家は庭も広いので、臆せずすべて土へ。腐ったもの、かびたもの、揚げ油の残りだって、土はすべて受け止めてくれます。自然ってそういうものです。
仕事柄、いろいろな種類の生ごみ処理を試してきましたが、「生ごみが消えるタイプ」「堆肥ができるタイプ」「虫が絶対湧かないタイプ」などそれぞれ特徴があります。
マンションのベランダでもできる「ベランダdeキエーロ」「段ボールコンポスト」「LFCコンポスト」などもありますので、ご自身のニーズに合ったものが選べます。
生ごみをごみ箱に入れない生活は、人生が変わる快適さ。ぜひ体験してみてください!
生ごみだけじゃない、何でも土に還す
土に還るのは生ごみだけではありません。木材、天然繊維、液体。ありとあらゆる自然素材を、土は受け止めてくれます。
たとえば割りばしや竹串も、わが家では生ごみと一緒に土へ。木綿の「びわこふきん」も、切り刻んで埋めれば大丈夫*。
*布製品は、布地が天然繊維でも糸がナイロン、という場合も多いので注意が必要。
もちろんすぐには分解しないし、“理想的”ではないかもしれない(特に借家の方はご注意を!)。でも、土が分解してくれるものをわざわざごみ袋に入れて、収集車に遠くまで運んでもらって焼却炉で燃やすのは、やっぱりバランスが悪い気がするのです。だから、土が分解してくれる自然素材のものは、できるだけ土にお任せします。
ペンキの廃液も土に埋めます。だから、使う場合は「アウロ」や「リヴォス」などの自然塗料を選びます。自然塗料とは言え、土にいいとは思えないので、あまりいい気持ちはしません。でも、いつも思い返すのは、ある知人のマダムの話。ごみに詳しいその方は、友人から「中身の残っている化粧品」の処分方法を質問され、「庭に流せば?」とアドバイスしたそうです。
「え、だって、化学物質は土によくないでしょ?」と逡巡する友人に、「あなた、土に埋められないようなものを肌に塗りつけてるわけ?」と返したとか。
このエピソードはことあるごとに思い出します。そして、できる限り「安心して庭に埋められそうなもの」を選び、庭に埋めたくないものは買わないように心がけています。
本記事は『サステイナブルに暮らしたい』(アノニマ・スタジオ)からの抜粋です
〈文/服部雄一郎 撮影/衛藤キヨコ)〉
服部雄一郎(はっとり・ゆういちろう)、服部麻子(はっとり・あさこ)
夫・服部雄一郎、妻・服部麻子(ともに1976年生まれ)、長男(高1)、長女(小5)、次男(小2)の5人家族。アメリカ、南インド、京都を経て、2014年に高知県に移住。
一家の環境に配慮した「ゼロウェイスト」や「プラスチックフリー(プラフリー)」の実践的な取り組み、循環や持続可能性を意識した暮らし方がメディアで紹介され注目を集めている。今後ゲストハウスなども運営予定。持続可能な暮らしのノウハウや生き方を綴った著書『サステイナブルに暮らしたい』が発売中。
雄一郎:神奈川県葉山町役場のごみ担当職員として、ゼロウェイスト政策に携わる。訳書に、『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)、『プラスチック・フリー生活』(NHK 出版)、『ギフトエコノミー』(青土社)など。
http://sustainably.jp/
インスタグラム:@sustainably.jp
麻子:野草茶のブレンドを手掛ける。
http://lotusretreat.info/
インスタグラム(野草茶):@asterope_tea
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高知の山のふもとに暮らす翻訳者・服部雄一郎とその家族の無理なく楽しむ、シンプルで心地よい暮らしのはなし。『ゼロ・ウェイスト・ホーム』訳者による、持続可能な暮らしのノウハウや生き方を綴ったエッセイ&生活実用書です。ゴミ、プラスチック問題に精通しているからこその、無理なく楽しく取り組む方法やアイデアが満載。それぞれの暮らしに合ったヒントが見つかります。