(『天然生活』2022年2月号掲載)
体温は自分の体の状態を知る目安
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
新型コロナウイルス感染症の流行以来、体温を測る機会もずいぶん多くなりました。皆さんの基礎体温は何℃くらいですか? 最近は体温が低い人がずいぶん増えているようです。
体温が低いと、健康にあらゆる影響を及ぼします。よく「冷えは万病の元」といいますが、その言葉どおり、低体温は免疫機能や代謝機能、修復機能など、体のあらゆる機能が低下し、さまざまな病気につながるのです。
風邪を引くと熱を出すことがありますね。これはウイルスなどの病原体によるものではなく、体自身が体温を上げて免疫力を上げているのです。体温が1℃上がると免疫力が数倍上がるともいわれるくらい。またほとんどのウイルスは熱に弱いので、その意味でも普段から体温を上げることは大切といえます。
昔の人の平熱は37℃前後でした。現代はそれと比べて1℃ほど低くなっています。なかには平熱が35℃台や34℃台という人も。その原因は現代人の生活にあります。
ひとつは血の巡りの悪さ。血液がきちんと全身に巡ることが、体温を保つために大切です。しかし現代は自律神経の乱れなどにより、血が円滑に循環していない人が増えています。
また食べ過ぎも原因のひとつ。食べ過ぎると消化器官に血液が集中し、全身に行き渡りにくくなります。冷たいものや砂糖も体を冷やすほか、添加物といった不要なものが含まれた食事をとり過ぎると、解毒に体内のエネルギーが使われることに。
ほかにも運動不足や服装など、あらゆる要因の組み合わせが体温の低下を招いています。
体温は健康の指標。自分の体の状態を知るために、毎日決まった時間帯に体温を測ることをおすすめします。
測る場所は脇の下。理想の体温は36℃台後半です。体温が低い場合、普段の生活を見直すサインと捉えてください。いつもお伝えしている「腸内細菌を元気にすること」は、体温アップにもつながります。
また、冷えやすい人は皮膚表面の近くに血管が通っている首や手首、足首を冷やさないことが大切。湯たんぽなどで首を温めたり、足湯をしたり、お湯に手首までつける手浴をしたりするのもいいですね。
冬は、にんじんや大根などの根菜類が旬。これらは東洋医学では体を温める食材といわれています。やはり季節のものを食べるのは、理にかなっているのです。
気温の低い時季は、体温も低下しがち。湯船でしっかり温まる、体をよく動かすといった対策もして、元気に冬を乗り切りましょう。
〈取材・文/嶌 陽子〉
本間真二郎(ほんましんじろう)
小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。現在は同市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。著書に『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー)など。2児の父。