日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
2月4日 5時51分
二十四節気・立春(りっしゅん)
一年の始まりは立春から
二十四節気の最初の節気で、文字通り春の到来です。
旧暦ではこの日を1年の始めの日とし、農作業などの節目や、八十八夜、入梅、冬の土用なども*立春が基準となっています。
また「立春大吉」は除災招福を意味する言葉。
これが書かれたお札は、邪気を払い、福を招く縁起物とされています。
立春の期間の七十二候
2月4日から2月8日ごろ
立春初候・ 東風解凍[はるかぜこおりをとく]
冷たい北風から暖かい東の風にかわる時期です。
暦の上では、菜の花が咲き始める立春から立夏の前日までが春となります。
春を知らせる東の風は、とても清々しいもの。
さまざまな花や若葉の香りがブレンドされた、うっとりする空気を感じ取ってみましょう。
2月9日から2月13日ごろ
立春次候・ 黄鶯睍睆[こうおうけんかんす]
「黄鶯」はウグイス、「睍睆」は鳴き声が美しいことを表しています。
ウグイスの美しい鳴き声が春の訪れを告げるころ。
「初音」と称されるウグイスの発声練習のようなさえずりも聞こえてきます。
またこのころ、極寒の冬を耐え、花芽を蓄えてきた梅が、ウグイスの鳴き声に誘われたかのように開花し始めます。
各地の梅園でも「梅まつり」が開催され、春の到来が実感できますよ。
2月14日から2月18日ごろ
立春末候・ 魚上氷[うおこおりいずる]
おとなしく春の訪れを待っていた川や泉の魚たちが、水面に薄く張った残氷の解けた気配を感じ、元気よく泳ぎだすころです。
降り積もった雪も溶け、ユキワリソウの花が顔を出します。
黄色いマンサクの花や、ピンクのサクラソウも色とりどりに美しく、森や畑の周辺にはナズナやフキが勢いよく育ち、山菜なども目にするようになります。
* 二十四節気
四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。
* 七十二候
七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。
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本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
<イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>
井上象英(いのうえ・しょうえい)
暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。
『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。