日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
2月19日 1時43分
二十四節気・雨水(うすい)
ひと雨ごとに暖かく
山の雪や氷が解け始め、雨がよく降るようになります。
一方で、その雨が雪になるかもしれない、三寒四温の季節でもあります。
それでも少しずつ水がぬるみ始め、降る雨は草木の発芽を促してくれます。
雨水から啓蟄までには陽気が地上に湧き上がり、次第に日常生活も快適に過ごしやすくなってくるころです。
雨水の期間の七十二候
2月19日から2月23日ごろ
雨水初候・ 土脉潤起[つちのしょううるおいおこる]
冷たく硬い土が雨を含み、軟らかくなる季節。
吹く風は爽やかで清々しく、土の香りは福寿草やふきのとうなどの香りとともに、春の到来を告げています。
豊作を祈願し、神前に新しい苗(早苗)を供える「お田植えまつり」が行われる地域もあります。
2月24日から2月28日ごろ
雨水次候・ 霞始靆[かすみはじめてたなびく]
野山では早朝、霞がたなびき「春霞」を体感するころです。
霧がかかった山や森は、まるで水墨画のような光景。
生命力あふれる木々の息づかいが大気の中に溶け込んだようにも感じられます。
かすむ、たなびくなどの言葉は、日本人独特の表現でとても美しく、「霞」は春の季語としても使われています。
3月1日から3月4日ごろ
雨水末候・ 草木萌動[そうもくめばえいずる]
草木の緑に花々が彩りを添えるころ。
冬の間、眠りについていた自然界の胎動が感じられるころを「萌動」と称し、文字のごとく、野山の草木が生き生きと萌える季節の到来です。
大気と土が潤い、日差しが強まって、野原や土手のあちこちで、顔をのぞかせるツクシやタンポポを目にするようになります。
自然とともに生きることの素晴らしさは、若草の香り漂う、足元の大地が教えてくれるのかもしれません。
緑一面の景色に花が彩りを添える、なんとも魅力的な季節です。
* 二十四節気
四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。
* 七十二候
七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。
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*本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
*二十四節気、七十二候の日付は2022年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。
<イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>
井上象英(いのうえ・しょうえい)
暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。
『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。