• 「カビについて知っておきたいこと」「カビを生やさない掃除の基本」を、ナチュラルクリーニングを提唱する本橋ひろえさんに教わります。気温も湿度も高まる梅雨入り前こそ、カビの原因を取り除く、絶好の機会です。
    (『天然生活』2020年7月号掲載)

    正しく知れば怖くない、「カビ」のこと

    知っているようで知らない、カビの正体。発生する原因は何か、正しく理解することが大切です。

    カビは生き物。生きるために必要なのが「水分で、浴室などに残った水けや室内の湿気を好みます。

    また、角質(体のあか)や皮脂、食べ物のかすなど、酸性の汚れが「栄養に。

    意外なのが、合成洗剤やシャンプーもカビの栄養になること。

    「主成分の合成界面活性剤は、油脂が原料。しかも、しっかりすすがないと流しきれないのが特徴で、浴室や台所に残りやすいのです。私がナチュラルな洗浄剤を使うのは、環境や安全の面もありますが、油脂を含まず、すすぎが簡単という理由が大きいです」と本橋さん。

    温度」も発生条件のひとつで、20℃を超えるこれからは、カビの繁殖期に入ります。

    「条件のうち、ひとつでも排除できれば、カビを予防できますよ

    カビ・雑菌が発生する3つの条件

    画像: カビ・雑菌が発生する3つの条件

    梅雨・夏はカビの繁殖期

    画像: 梅雨・夏はカビの繁殖期

    これからの季節、「温度」は手の打ちようがない条件。高温かつ多湿な梅雨や夏の時季は、必然的にカビの繁殖期になる

    流しきれない洗剤やシャンプーも栄養に

    画像1: 流しきれない洗剤やシャンプーも栄養に
    画像2: 流しきれない洗剤やシャンプーも栄養に

    合成洗剤やシャンプーに含まれる合成界面活性剤は、カビの栄養源。掃除したつもりが、かえってカビを増やす結果に

    浴室や台所は条件がそろいやすい

    画像1: 浴室や台所は条件がそろいやすい
    画像2: 浴室や台所は条件がそろいやすい

    高温多湿で、角質や皮脂などさまざまな汚れがつく浴室は、カビの宝庫。栄養価が高い食品かすなどがつく台所も要注意

    カビを生やさない掃除の基本

    気温が上昇してくる季節を迎える前に、カビの好む「水分」「栄養」をできるだけ除く掃除が必要です。

    汚れを落とす

    画像1: 正しく知れば怖くない「カビの正体」。カビを生やさない掃除の基本|夏にそなえる、カビの “リセット掃除” /本橋ひろえさん(ナチュラルクリーニング講師) 画像2: 正しく知れば怖くない「カビの正体」。カビを生やさない掃除の基本|夏にそなえる、カビの “リセット掃除” /本橋ひろえさん(ナチュラルクリーニング講師) 画像3: 正しく知れば怖くない「カビの正体」。カビを生やさない掃除の基本|夏にそなえる、カビの “リセット掃除” /本橋ひろえさん(ナチュラルクリーニング講師)

    しっかり除去したいのが、カビが付着するもとになる酸性の汚れ

    家の中の汚れの8割を占めますが、重曹や過炭酸ナトリウムなどのアルカリ性の洗浄剤で落とします。過炭酸ナトリウムを溶かした湯につけおきすると、汚れ落としに有効です。

    カビが好まない汚れも、その上に酸性の汚れが付着すると新たなカビの発生源となるので、掃除は必須。

    水あかや石けんかすなどのアルカリ性の汚れにはクエン酸を。ほこりは中性なので、はらうだけで洗剤は使いません。

    きっちり乾かす

    浴室や台所のシンクなど、掃除後に残る水けは、カビの発生条件の「水分」につながるので、道具などを使ってしっかりきり、乾かしましょう。

    浴室の小物や洗剤やシャンプーなどのボトル、掃除道具も、濡れたまま置きっぱなしにすると、全体の乾きを損ねる原因に。吊るせるものは吊るして浮かす、使うときだけ持ち込むなどの習慣づけが大切です。

    また、押し入れやクローゼットなど、湿気がこもりやすい個所も用心して。換気を心がけ、湿気を逃がしましょう。

    除菌をする

    画像4: 正しく知れば怖くない「カビの正体」。カビを生やさない掃除の基本|夏にそなえる、カビの “リセット掃除” /本橋ひろえさん(ナチュラルクリーニング講師) 画像5: 正しく知れば怖くない「カビの正体」。カビを生やさない掃除の基本|夏にそなえる、カビの “リセット掃除” /本橋ひろえさん(ナチュラルクリーニング講師)

    カビ自体は中性。酸性やアルカリ性の洗浄剤で落とすのではなく、除菌が必要

    アルコールは、押し入れなどの水が使えないところ、洗い流せないところなど、あらゆる場所の除菌に活躍。

    「除菌力の高さやコストの面から、ふだんは消毒用エタノールを水で35%の濃度に薄めて使いますが、いまは入手が困難。キッチン用のアルコール除菌剤なら比較的手に入りやすく、掃除にも十分な除菌力です」

    つけおきできるものには、過炭酸ナトリウムを使います。

    基本の洗剤

    皮脂・角質・洗剤汚れなどを落とす
    重曹

    画像: 皮脂・角質・洗剤汚れなどを落とす 重曹

    アルカリ性洗浄剤のなかでもアルカリが弱く、安全性が高い洗浄剤。湯に溶かし、1%の重曹水にして使えるほか、水に溶けない性質を生かし、粉のままクレンザー代わりに使うのも便利。浴室や台所のシンクなどの汚れ落としにも

    水あか・石けんかすなどを落とす
    クエン酸

    画像: 水あか・石けんかすなどを落とす クエン酸

    酸性の洗浄剤。蛇口などにつく白い水あかや浴室の椅子などにつくザラザラした石けんかすに対応。水200mLに対して小さじ1/2を加えて濃度1%のクエン酸水をつくり、スプレーボトルに入れて使う(2~3週間で使いきること)

    つけおきできるものの汚れ落とし・除菌に
    過炭酸ナトリウム

    画像: つけおきできるものの汚れ落とし・除菌に 過炭酸ナトリウム

    「酸素系漂白剤」とも呼ばれ、洗浄や漂白、除菌もできるアルカリ性の洗浄剤。50~60℃の湯に溶かすと発泡し、効果を発揮。バケツなどに入れた湯2Lに対して小さじ1を溶かし、つけおき洗いを。洗い流せるものにのみ使用できる

    あらゆる場所の除菌に
    アルコール

    画像1: あらゆる場所の除菌に アルコール

    除菌に大活躍の中性剤。揮発性が高く、スプレーしても2度ぶきの必要がない。油や皮脂などのあぶら汚れを溶かす働きもある。直接スプレーして使うほか、水けを残したくない場所には、クロスなどにスプレーしてからふくとよい

     
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    〈監修/本橋ひろえ イラスト/ホリベクミコ 構成・文/秋山香織〉

    画像2: あらゆる場所の除菌に アルコール

    本橋ひろえ(もとはし・ひろえ)
    ナチュラルクリーニング講師。北里大学衛生学部化学科卒業後、化学薬品企業に就職。自身と子どものアトピー体質をきっかけに、掃除や洗濯、洗剤を科学的に解説する「ナチュラルクリーニング講座」をスタート。著書に『ナチュラルおそうじ大全』『ナチュラルおせんたく大全』(ともに主婦の友社)などがある。天然生活本誌にて「季節のナチュラル掃除と洗濯」を連載中。

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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