• ごみを減らしてむだのない暮らしを、楽しみながら実践している服部麻子さんに、そのコツを伺いました。
    (『天然生活』2020年8月号掲載)

    ゼロウェイストってなんですか?

    ごみやむだ(ウェイスト)をなるべく出さない暮らしや取り組みのこと。

    家族4人でごみを 年間1L以下 しか出さないベア・ジョンソンさんの優雅な暮らしぶりが、世界的に注目され、欧米では実践する人が続出しました。

    「日本ではなかなかそこまで減らすのは難しいですが、できる工夫は意外にたくさんありますよ」と服部さん。

    “ごみが減る”心地よさと、 “むだを省く” プロセスを楽しむ

    画像: リノベーションした築80年の古民家に暮らす。掃除機は持たず、京都の老舗で求めたほうきで掃き掃除。お茶殻をまくと、ほこりが舞い上がらず、すっきりきれいに。「静かで快適です。フィルター交換も不要ですし」。紅茶、高山烏龍茶、庭のレモンバーベナなど、お茶殻の種類によってさわやかな香りが立ち上る

    リノベーションした築80年の古民家に暮らす。掃除機は持たず、京都の老舗で求めたほうきで掃き掃除。お茶殻をまくと、ほこりが舞い上がらず、すっきりきれいに。「静かで快適です。フィルター交換も不要ですし」。紅茶、高山烏龍茶、庭のレモンバーベナなど、お茶殻の種類によってさわやかな香りが立ち上る

    ごみを減らすって大変そうと思われるかもしれませんが、むしろシンプルライフに近いです。むだなものを省いていくイメージ。 “これなしでも平気かな” と考えるのは、楽しい発想の転換です」

    もともと神奈川の葉山で「やまねごはん」として活動していた服部麻子さん。当時からオーガニックや地産地消には意識的でしたが、最初にごみに目覚めたのは夫の雄一郎さんでした。

    ゼロウェイストの仕事を経て、ついにはベア・ジョンソンさんの著書『ゼロ・ウェイスト・ホーム』(アノニマ・スタジオ)を翻訳するまでに。

    「最初は受け身でしたが、ごみが減って驚きました。ごみが少ないとごみ出しの回数が減り、ごみ箱がにおうことも皆無に。純粋に “心地いいな” と感じました」

    画像: 服部家の1~2週間分の燃えるごみ(左)と、プラごみ(右)

    服部家の1~2週間分の燃えるごみ(左)と、プラごみ(右)

    服部家のごみは、上の写真のとおり、5人家族にしてはかなり少なめ。

    生ごみは土へ。過剰包装は断り、出たごみはきっちり分別。自然素材のものを選び、買いものは最小限を心がけます。

    「ごみというと “リサイクル” のイメージですが、エネルギーを使うリサイクルは最終手段。その前の “むだを省く” プロセスにこそ、ゼロウェイストの楽しさが詰まっている気がします」

    画像: 調理屑はきれいなまま取り分けて、畑へ

    調理屑はきれいなまま取り分けて、畑へ

    でも、「3人の子どももいるし、無理しすぎないことも大切にしています」とも。

    「無理は続きません。できなくなる時期があってもいいんです。義務ではないので、そのときの自分がしたいことをすればいいと思っています」

    “地球に寄り添い、かつ自分自身も心地よく” ――ゼロウェイストの本質はここにありそうです。

    画像: 畑で育てた野菜も食卓に。畑はなるべく自然のままにこぼれ種からの発芽や結実も楽しむ

    畑で育てた野菜も食卓に。畑はなるべく自然のままにこぼれ種からの発芽や結実も楽しむ

    画像: 週1回の「水曜カフェ」の調度品は、ほぼすべて古道具か人から譲られた中古品

    週1回の「水曜カフェ」の調度品は、ほぼすべて古道具か人から譲られた中古品

    画像: 季節の保存食。定番の梅干しや味噌のほか、ザワークラウト、アンチョビ、豆板醤など

    季節の保存食。定番の梅干しや味噌のほか、ザワークラウト、アンチョビ、豆板醤など

    服部さんのゼロウェイストの歩み

    2005年
    第1子出産

    2006年
    庭で人生初の生ごみ処理開始。うじ虫発生に絶叫したのは夫。自身は畑を楽しみ、生ごみを土に戻す生活を心地よく思う

    2007年
    ゼロウェイストという言葉を知る。まだまだ他人ごと

    2010年
    第2子出産。カリフォルニア州バークレーへ転居。畑&生ごみ処理を続行

    2012年
    南インド・チェンナイへ転居。異国での混沌の日々で、畑も生ごみ処理もできず

    2013年
    地方移住を視野に、京都のマンションで仮住まい。第3子妊娠などで忙しく、畑も生ごみ処理もできず

    2014年
    高知の山麓の空き家へ移住

    2015年
    ADHD傾向であると判明。整理ができず、シンプルライフの必要性に気づく

    2016年
    『ゼロ・ウェイスト・ホーム』刊行に伴い、夫が強引にごみ減量強化。賛同し、マイ容器での買いものをはじめるものの、過激なごみ減量に反発を覚え、口論もする

    2019年
    プラ問題の深刻さを知り、「プラごみを出したくない」と心の底から思うようになる

     
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    〈撮影/河上展儀 取材・文/鳥野 曜〉

    服部麻子(はっとり・あさこ)
    バークレー、南インド、京都を経て、家族で高知の山のふもとに移住。Asteropeの屋号で野草茶のブレンドを手がける。夫との共著に『サステイナブルに暮らしたい―地球とつながる自由な生き方』『サステイナブルに家を建てる』(アノニマ・スタジオ)。
    インスタグラム:@asterope_tea

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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