(『天然生活』2020年12月号掲載)
早川ユミさんの冬支度
内と外から温める。毎日の習慣が体をつくる
薪ストーブの上で豆のスープを煮るとほっこりと味わい深い。夜、火を落としたあと、お芋をのせておくとじわじわ火がとおり、朝には焼き芋が食べられる。薪で焚いたお風呂に入れば芯から温まり湯冷めしないそう。
「お風呂はわが家の治療院」とユミさん。薪の火が冬の暮らしを支えています。
「キッチンがIHというご家庭も多くなりましたが、火を使う暮らしを楽しんでもらえたらって思います。うちは大人数だから炊飯器も使うけれど、やっぱり直火にかけて炊いた土鍋ごはんはおいしい。火を使った感動があると思います」
毎日の食も体をつくる、元気の素。畑の野菜をお鍋にしてたっぷり食べ、キムチや豆乳ヨーグルトなど、発酵食品も手づくりで。
「なくなればつくって、切らさないように。習慣にしてしまえば億劫じゃない。繰り返し続けていれば、それが暮らしになるんです」
靴下やスパッツの重ねばきも体を冷やさないための、長年の習慣。冬場はさらにもう一枚重ねばきして、体の内と外からしっかりと温めます。
特別なことではなく、ふだんの暮らしのなかで、コツコツと体を整える。すこやかに冬を過ごせば、春、元気に動き出せます。
早川ユミさんの冬支度
干しいもづくり
風がグッと冷え込む12月の2週目ごろに、にんじんいもで干し芋をつくるのが恒例行事。
大鍋でゆでて、串が通るまで火がとおったら、皮をむいて厚めに切り、お盆に広げて干すだけ。高知ではおなじみの、素朴なおやつ。
「その名の通り、このさつまいもはにんじんみたいなオレンジ色。ねっとりと、甘い。子どもも大人も大好き。たくさんつくってもすぐなくなります」
早川ユミさんの冬支度
ほうれんそう鍋で体の中から温まる
しょうがとにんにくのみじん切りをどっさりと。体が温まり、食欲がわいて、たっぷり野菜が食べられる。
「昆布とカツオのだしをしょうゆ・酒・塩で好みに味つけ、豚肉、葛きり、ほうれんそうはちぎって入れます。シンプルで、準備もらく。子どももたくさん野菜を食べてくれるし、うちの長年の定番です」
〆はインスタント麺がおすすめ。スープと抜群に合う。
早川ユミさんの冬支度
キムチを仕込む
白菜が畑で採れるとひと玉丸ごとキムチに。けれどふだんは、つくりやすい量で気軽に仕込むそう。
「白菜をざくざく切って、塩をし、重石をして、まずザワークラウトのような塩漬けに。それからしょうがやねぎ、にんじんのせん切り、りんごのすりおろし、韓国のとうがらしなどを練り込みます」
日を待たず食べられて、日がたてば古漬けのように味が深まっていくそう。「とても手軽にできますよ」
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〈撮影/河上展儀 取材・文/宮下亜紀〉
早川ユミ(はやかわ・ゆみ)
布作家。高知を拠点に、畑や暮らし、いろんな人の心に、種をまく。『早川ユミのちくちく服つくり』(アノニマ・スタジオ)など著書多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです