(『天然生活』2020年12月号掲載)
川地あや香さんの冬支度
雪で覆われる冬時間を、手を動かすことで温かく
「越してきて、もう8年になりますが、深々と雪が降り始めると景色がきれいで、目の前に広がるたびに写真に収めたくなりますね」
そう語るのは、金工作家で菓子制作家の川地あや香さんです。結婚を機に、2012年に東京から山形県山形市に移住してきました。
「実は私、寒いのがそれほど得意ではないんです。秋が短く、突然ダウンコートが必要になるこちらの冬に、始めのうちは、少しとまどいました」
このままでは冬が苦手になってしまうと、まず用意したのは、お気に入りの防寒グッズでした。マフラーやヘアバンドなどは手づくりし、寒さをただ耐えるのではなく、楽しめるように工夫したそう。
「雪が降ると、雪道の運転は怖いですし、家の中で過ごすことが多くなります。そういうときに手間や時間をかけてつくり上げる刺しゅうや洋裁などの手仕事は、とてもいいんです。気分が落ち着きますし、気持ちも豊かになります」
イベントごとも、冬が待ち遠しくなるきっかけになりました。ポイントは、追われるように準備するのではなく、余裕をもって取り組むこと。
「息子が生まれてから、クリスマスやお正月用の料理、飾りつけをきちんとするようになりました。ケーキやおせちを子どもと一緒につくれるのも、いまのうちだけと考えると、いとおしい時間です」
川地あや香さんの冬支度
せいろで子どもとつくる、ほかほかのまんじゅう
冬のおやつの定番は、5歳の息子とつくる蒸しまんじゅう。山形で出合った地粉(地元で収穫、製粉された中力粉)を使うのがおいしさの秘訣です。
「地粉でつくる生地はもちもちして、深い味わいがあります。おまんじゅうは上手に包めなくても膨らんでしまえばみんな同じ。子どもと一緒につくるには最適です。多めにつくって冷凍し、蒸すだけにしておけば時間のないときにも助かります」
川地あや香さんの冬支度
子どもや家族の冬服は布仕事で
雪が降りこめる山形の冬。外出できない時間が長いため、家の中で楽しく過ごせる趣味をもっていることは大事と、川地さん。洋裁がそのひとつで、冬はウール地を使ってジャケットなどの大物にも取り掛かかります。
「洋裁をするようになって、服選びが自由になりました。この形はいいけど、色が好きじゃないなぁ、というときには『自分でつくればいい』と、軽やかに考えられます」
川地あや香さんの冬支度
年賀状のためにハンコをつくる
毎年、家族写真を年賀状に載せているものの、それだけでは味気ないからと、消しゴムハンコも使っています。
「小さいですし、デザインも凝ったものではないですが、消しゴムに直接鉛筆で絵柄を描いて、彫刻刀で彫ります。クッキーの焼印制作もそうなのですが、手仕事で、量産できる道具をつくることが好きなんです。年賀状は大変ですが、消しゴムハンコのおかげで、楽しい作業になります」
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金工作家・川地あや香さん×『天然生活』
手づくりの真鍮クッキー型を抽選販売いたします
川地さんが、ひとつひとつ手づくりした愛らしい真鍮製の道具たちです。かわいいクッキー型は全6種類。10月28日から11月14日までの期間限定で、「天然生活 ONLINE SHOP」にて抽選販売のお申し込みを承ります。
ぜひご覧ください!
●応募受付期間:2022年10月28日(金)12:00~11月14日(月)24:00
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〈撮影/志鎌康平 取材・文/長谷川未緒〉
川地あや香(かわち・あやか)
金工作家、菓子制作家。東京藝術大学大学院修了後、カフェに勤務したのち、2012年に山形に移住。夫と子どもとの3人暮らし。
https://www.kawachiayaka.com/
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです