(『天然生活』2021年5月号掲載)
自分の感覚を大切にして、体の「可能性」を楽しむ
根っからの「体オタク」で、これまでにもヨガ、太極拳、気功、瞑想など、さまざまな身体トレーニングを試してきたという森田久美さん。
その楽しさ、すごさに目覚めたのは20代後半、カイロプラクティック(アメリカ人施術師が19世紀末に考案した、手技療法。脊髄を中心とした体の部位を調整し、体の痛みや機能を改善し、自然治癒力を高めるもの)で器具を用いた施術を体験したことがきっかけでした。
「終わったあとすごく気持ちよくて、呼吸が深くなり、パーッと視界が開けるような気がしました。腕を上げると、関節のつまりがまったく感じられず、心地よく動かせる。体ってすごい。体に正しく意識が向かうと、心にも必ず変化が生まれます。端的にいうと『生きやすくなる』『生きるのが楽しくなる』と、気づいたんです」
森田さん曰く、体にとって骨は、家にとっての柱など構造体のようなもの。自分の体にふさわしい骨格ポジションを探し、メンテナンスをしていくと、おのずと姿勢や肌つやなど、外側は整い始めるのだとか。その言葉通り、森田さんの姿勢は美しく、肌も透明感にあふれていました。
「体のことをていねいに取り組んでいくと、必ず感覚は上がっていきます。私にはそれが楽しく、幸せに感じられるので、自然に続けていけるのです」
森田久美さん 体すっきりの心がけ
マッサージで体をゆるめる
「地球上に生きているものはすべて重力がかかっていて、私たちの筋肉もその重力の影響を受けたフォルムをしています。その関係を理解しておけば、強い力でもまなくても、最小限の力でなでるだけで、体がほぐれていきます」
頭や首、腰など全身を手で触れ、緊張しているポイントを見つけ、そのつどゆるめていく。ただ押すのではなく「どうすると気持ちがいいか?」という感覚に従います。
森田久美さん 体すっきりの心がけ
体の仕組みをきちんと知る
たとえば頭はいくつの骨でできているか、それぞれの骨はどのくらいの大きさか。内臓の各器官は、どんな働きをしているか。大人であっても、体の仕組みは意外に知らないもの。
体を大切にしたいと考えるなら、ブラックボックスのままにしないこと。
「自分の『気持ちいい』という感覚を追うときに、仕組みや構造の知識が頭に入っていると、体に働きかけたときの効果が底上げされていきます」
〈撮影/辻本しんこ 取材・文/田中のり子〉
森田久美(もりた・くみ)
京都・大徳寺そばで「料理教室森田」を主宰。2020年よりオンラインレッスンを開始し、お母さんクラス、身体クラスも開講。
インスタグラム:@0358morita
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです