(別冊天然生活『歳を重ねて楽しむ暮らし』より)
「もっと軽く、もっと楽しく」。常にアップデートする暮らし
「暮らしをアップデート」。この言葉が、石黒智子さんほどぴったりくる人はいません。
歳を重ねるごとに、道具は見直され、暮らしのアイデアは更新されつづけています。もっと軽く、もっと楽しく。
70代になって、新しく見つけた楽しみ
2022年秋に70代に突入し、また新しい楽しみも発見したと息を弾ませます。
「69歳になった一昨年、自動車免許を返納しました。コロナ禍で、電車に乗っての遠出もせず、一年間、ほぼ徒歩の生活をしていました」
その暮らしに何の不満も不便もなかったといいますが、思わぬことから移動手段に選択肢が増えました。バス移動です。
「70歳になって敬老パス(市が発行する、バスや市営地下鉄などの特別乗車証)が届きました。当初は、バスなんて乗らないと思っていたんだけど、使ってみたらすごく便利。最初に使ったのは20分で行けるデパ地下でした。近所のスーパーにはない食材がいろいろと選べるようになり、食卓が充実しています」
“バス初心者”の石黒さんに乗り方や路線のことなどを指南してくれる80代の「バス友」と知り合えたり、これまでは遭遇しなかった友人に会う機会が増えたり。活動範囲がぐっと広がり、暮らしが面白くなりました。
少し前までバスに乗ることなんて予想もしていなかったのに、生活がこんなにも変わるなんて! これまで見過ごしていた楽しみを知り、ワクワクしている石黒さんなのです。
〈撮影/杉能信介 取材・文/鈴木麻子〉
石黒智子(いしぐろ・ともこ)
日々の道具選び、収納、家事のアイデアなど、暮らしにまつわる情報を独自の視点で発信。「亀の子スポンジ」など商品開発にも携わる。『60歳からのほどよい暮らし』(PHP研究所)など著書多数。70代のいまの暮らしについて綴った新刊『70歳からの軽やかな暮らし 今ここにある小さな幸せを大事にする31の知恵と工夫』(PHP研究所)を3月26日に発売予定。2001年開設のサイト「石黒智子のLife Style」では、毎日一文、アップしつづけている。
※ 記事中の情報は取材時のものです
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いつまでもイキイキと暮らすためには、自分の「いま」を楽しむことが大切。日々の暮らしのこと、食事のこと、健康のこと、ファッションのこと……。歳を重ねたからこそ見つけた楽しみや工夫を、こぐれひでこさん、石黒智子さん、引田かおりさん、紫苑さん、セツばあちゃんなど、8人の方に教えていただきました。年齢別、食べ方指導、栄養バランスのよい献立、転ばないためのお手当て、脳のセルフケア、歳を重ねたいまの装い、介護のことなどもご紹介しています。