(『88歳ひとり暮らしの元気をつくる台所』より)
盛りつけのコツは「余白を残す」「中央を高く」「青味を少々」
料理の盛りつけは、姉妹やお友達の家の食卓、料理本の写真、外食した料理などからヒントを得て、自分なりに工夫しています。
気にしているのは、器いっぱいに盛りつけずに余白を残すこと、中心を高く盛りつけること。これだけでも、かなりおいしそうに見えるなと思っています。
ほんのちょっとでもいいので青味があると、器の中が華やかになり、食欲をそそります。
料理に青味がないときは、小口切りして冷凍した小ねぎの出番。何にでもパラパラとふりかけます。夏は、大葉の千切りもいいですね。
豆苗(とうみょう)を食べた後、残った根の部分で再生栽培をします。この間、器にアジの干物と大根おろしを盛りつけたら、なんとなく寂しい感じがしました。豆苗を添えてみると、ぐっとおいしそうに見えました。
自己満足ですが、iPadで早速撮影。自分自身が楽しい気持ちになるし、習い事で会うお友達にも見せて話の種にすることもできます。
器の選び方は、まずはメインのおかずに使うものを決めます。柄が入っているものにしたら、副菜はシンプルなものにします。平らな器に高さのある器、丸い器に四角い器を組み合わせるなど、変化をつけることもあります。
中でも登場回数が多いのは、直径15cmほどのなます皿。江戸時代になます(酢の物)を盛りつけたものだそうで、縁が高く汁気のあるものにも使えます。
今、わが家にはバラバラに購入したなます皿が4枚あり、2枚は印判という大量生産されたもので、近くの骨董屋さんで1000円ほどで買いました。残りの2枚は赤絵の染付けで、骨董市で購入しました。
本当によく使っているので柄がやや薄くなっていますが、それも経年変化の味です。この4枚は、ひとり分のおかず、お刺身、サラダなど、何でも盛りつけます。来客時には、取り皿としても重宝しています。
本記事は『88歳ひとり暮らしの元気をつくる台所』(すばる舎)からの抜粋です
〈撮影/馬場わかな〉
多良美智子(たら・みちこ)
昭和9年(1934年)長崎生まれ。8人きょうだいの7番目。戦死した長兄以外はみな姉妹。10歳のとき母を亡くし、父や姉たちに育てられる。小学生の時戦争を体験、被爆する。27歳で結婚後、神奈川県の現在の団地に。8年前に夫を見送り、以来ひとり暮らし。2020年に10代の孫と始めたYouTube「Earthおばあちゃんねる」では、日々の暮らしや料理をアップし、登録者数15万人を超える大人気チャンネルに。料理上手で食い道楽だった父の影響で、昔から料理が好き。「自分の好きなものを好きな味で食べられる」ことが何よりうれしい。65歳のとき専門学校に1年通い、調理師免許を取得。70年に及ぶ料理歴の間に、ありとあらゆる料理をつくってきたが、高齢でひとり暮らしの今は、「調理はごく簡単に」がモットー。著書に12万部のベストセラー『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』(すばる舎)。
Earth おばあちゃんねる
https://www.youtube.com/c/Earth_Grandma
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