(『する、しない。』より)
ある日、ホテルのバスルームで鏡を見たら
5年くらい前のこと。旅先のホテルのバスルームで、なんとはなしに洗面所についていた拡大鏡を見たら......毛穴やらムダ毛やら肌の荒れやらがババーンと目に飛び込んできました。
なんだか自分がすごいことになっている。こんなに間近で人と接することはないとしても、大人の女のたしなみとして、ちゃんとせねば。そう思ったのでした。
すぐに探したのは拡大鏡。
ふだん、ダイニングでメイクするので、テーブルに置けるスタンドタイプのものを。 Googleの検索ワードに「拡大鏡・スタンド型・シンプル」などと入れ、えらんだのが、片面はふつうの鏡、もう片面は拡大鏡がついたこちらのタイプ。
その日からというもの、メイクをする時には必ず拡大鏡を覗き込み、ムダ毛や肌の調子をチェック。毎日、何かしらの発見(というか驚き)があるもので、これがあるのとないのとでは自分の顔の様子はだいぶ違う。よかった......とほっと一安心しました。
拡大鏡ともうひとつ買ったのは
そんな矢先、撮影場所でメイクさんが使っていたのが、折り畳み式のこちら(下)の鏡。「移動が多いので、持ち運びに楽だし、顔全体が入る大きさなので重宝してます」とのこと。
「メイクする時、寄りで見るのも大事だけれど、全体を引きで見るのも大事」というその言葉にも深く納得。
それからというもの、朝は毎日、このふたつの鏡を出して寄りと引きで自分の顔を確認。
人から見たらそんなに変わったようには見えないと思うけれど、自分に対する心構えはまったく違う。歳を重ねるごとに身だしなみはきちんとしたいものです。
本記事は『する、しない。』(PHP研究所)からの抜粋です
(撮影/有賀 傑)
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伊藤まさこ(いとう・まさこ)
1970年、神奈川県横浜市生まれ。文化服装学院でデザインと服作りを学ぶ。料理や雑貨など暮らしまわりのスタイリストとして女性誌や料理本で活躍。自らプロデュースした衣食住にまつわる商品を販売するサイト「weeksdays」を「ほぼ日」と一緒に運営中。おもな著書に『あっちこっち食器棚めぐり』(新潮社)、『おべんと探訪記』(マガジンハウス)、『伊藤まさこの台所道具』『伊藤まさこの食材えらび』『伊藤まさこの器えらび』『夕方 5時から お酒とごはん』『新装版 毎日ときどきおべんとう』(以上、PHPエディターズ・グループ)など多数がある。