(『かぞくをつなぐ より子さんのレシピ帖』より)
焼豚はずっとこのレシピでつくり続けています
このレシピに出合ったのはもう30年以上も前のこと。娘が通っていた中学校で料理講習会があり、そのときに教わったのが、この焼豚です。
焼豚はいろいろなレシピがありますが、お鍋ひとつでできるので、私にとってこの方法が一番簡単。やわらかくなるまで煮てから最後に煮汁を絡めることで、肉質がふっくらしていて、煮汁が香ばしくなります。
大事なポイントは、深さのある厚手のお鍋でつくること。薄いお鍋では焦げてしまうかもしれません。
焼豚のつくり方
材料(つくりやすい分量)
● 豚肩ロース肉(かたまり) | 1kg |
● にんにく | 2片 |
● 生姜 | 2片 |
● 酒 | 1カップ |
● 砂糖 | 大さじ4 |
● 醤油 | 大さじ8(120mL) |
つくり方
1 厚手の深鍋に豚肉を入れ、十分かぶるくらいの水と軽くつぶしたにんにく、生姜を入れて火にかける。煮立ってきたら弱火にして、1時間~1時間半煮続ける。
2 楽に串が通り、澄んだ脂が出るくらいまで煮えたら、一度肉を取り出す。
3 鍋の煮汁をボウルなどにあけ、そこから1/2カップを2の鍋に戻す。
4 鍋を火にかけ、しばらくして煮汁がほとんどなくなり、鍋底できつね色に焦げ始め、透き通った脂が音を立て始める。焦げ目がだんだん広がり、いくらか栗色に変わってきたら火を止める。酒、砂糖、醤油を加えてしっかり混ぜ、再度火にかけてひと煮立ちさせる。ここで焦げ具合が強かったら、一度たれを濾して焦げ付いたかすを取り除くとよい。
5 取り出しておいた肉を鍋に戻し、たれを絡めて火を止める。
6 冷めたら肉を食べやすく切り、少し煮詰めたたれをかける。
焼豚を使って……
炒飯のつくり方
椎茸の香りがよいシンプルな炒飯。焼豚の端の崩れた部分を使うとよいでしょう。
たれを少々加えてもおいしいです。
材料(2人分)
● 焼豚 | 200g |
● 長ねぎ | 1/2本 |
● 椎茸 | 4個 |
● 卵 | 2個 |
● 炊いたごはん | 400g |
(やわらかめに炊いたごはんのほうがむしろよい) | |
● 油 | 大さじ3 |
(焼豚をつくったときにできたラードと半々でも) | |
● 塩、コショウ、醤油 | 各少々 |
1 焼豚は1cm角に切り、長ねぎはみじん切りに、椎茸は軸も含めて5~6mm角に切る。卵は溶きほぐす。
2 中華鍋を熱して油を入れてよくなじませ、溶き卵を流し入れる。
3 卵を端に寄せ、ごはん、長ねぎ、椎茸、焼豚を加えて鍋肌に軽く押し付けながら全体を混ぜ、ごはん粒に焼き目を付ける気持ちで、丁寧に炒める
4 塩、コショウをふり入れ、鍋肌に醤油を回し入れ、全体に大きく混ぜて香りよく仕上げる。
〈料理制作/中川悠歩 撮影/大沼ショージ〉
本記事は『かぞくをつなぐ より子さんのレシピ帖』(家の光協会)からの抜粋です
坂井より子(さかい・よりこ)
1946年生まれ。神奈川県葉山町に3世代7人で暮らす。子育てが落ち着いた40代後半から15年ほど、自宅で料理教室を主宰。主婦歴50 年の経験から生まれた暮らしの知恵、また人生を軽やかに生きるコツなどを独特のやさしい口調で語るその姿が、若い世代を含む幅広い年齢層に支持されている。『かぞくをつなぐ より子さんのレシピ帖』(家の光協会)は4冊目の著書で、これまで家族のためにつくってきた料理をまとめた初めての料理本。
◇ ◇ ◇
専業主婦歴50年の坂井より子さんが、家族のために毎日つくってきたレシピを初公開。なんでも手づくりしていた時代の昔懐かしい料理の数々は、今見ると新鮮で新しい発見があります。
特別な日のごちそうや子どもが好きな料理、地味だけど味わい深い家庭料理など、いつも家族の中心にあるのは「お母さんの料理」。
メディアで人気の坂井さんが次の世代に伝えたい家庭料理と台所仕事のことを一冊にまとめました。