(『旅は暮らしの深呼吸』より)
パッキングはダイニングテーブルで
旅というのは、「暮らす場所を変える」行為です。
だから持ち物は、暮らしている家じゅう各所に散らばっているのが当然。服を取りにあっちへ行き、タオルを取りにこっちへ行きと、旅支度が大変なのはもっともなことです。家族の分もとなれば、なおさら。
そこで、キッチン、サニタリー、クローゼットと、物を取りにいく動線の中心=ダイニングテーブルをパッキングの基地にしました。
各所を行き戻りしやすく、しかも詰めるときにいちいちしゃがむ必要もありません。立ったままだと、ラクにスピーディに荷造りができます。
ちょっとしたことのようでも、繰り返す動作で負担は増すもの。しゃがむ回数が減るだけで、旅の準備は想像以上に快適になります。
また、荷造りのためのケースやポーチは、一気に持って来られるようひとまとめにしています。家のあちらこちらに散らばっていると、最適な入れ物が見つからず「これじゃ小さすぎた」などと無駄な行き来が生まれてしまう。
数あるなかから荷物と照らし合わせて選び取れれば、パッキングのラクさは格段に上がります。
わが家では、ポーチ類を玄関近くのランドリー棚に置いて、ソフトボックスにひとまとめにしています。オープン棚にあるので、普段のお出かけに使うときにもサッと取ることができます。
旅と日常、ボーダーレスな服選び
旅に着ていく服は、普段着る服と同じです。はりきっておしゃれするということもなければ、特別にスポーティということもない。
もともと、服を買うときの判断基準は「動きやすいか」「乾きやすいか」「しわになりにくいか」「コンパクトにたためるか」「ガンガン洗えるか」。
それは同時に、旅にぴったりの服の条件でもあるからです。
むしろ、いつも旅に向いている服を着ていたい。
モノトーンで迷わない
すべてがモノトーンなら、どの服同士でもマッチします。珍しく柄のパンツを買ってみましたが、こちらもモノトーン配色。朝の負担も、荷造りの大変さも減りました。
本記事は『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)からの抜粋です
〈写真/林ひろし〉
本多さおり(ほんだ・さおり)
整理収納コンサルタント。夫と長男(7歳)、次男(5歳)との4人暮らし。片付けや収納を中心に、家づくり、子育て、物選び、無印良品などのテーマで執筆や発信活動を行う。整理収納のモットーは「生活重視ラク優先」。収納を変えることで、そこで営まれる生活がラクにまわり、住む人が快適に暮らせるようになることを目指す。主な著書に『家事がとことんラクになる 暮らしやすい家づくり』(PHP研究所)、『暮らしをそのままの自分に寄せて』(主婦の友社)がある。等身大の子連れ旅本『旅は暮らしの深呼吸』(集英社クリエイティブ)を発売。
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整理収納コンサルタント・本多さおりさんの子連れ旅本。親子ともどもちゃんとリフレッシュできる旅のかたちとは? 週末家事スキップ旅、無理しないキャンプの工夫、母だけ旅……など、忙しい子育て世代が休日を楽しむためのアイデアに満ちた一冊。日常に句読点を打つように、旅に出ましょう。