(『天然生活』2020年11月号掲載)
つくれそうなものは手を動かしてみる
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
布マスクをつくるために、ミシンを久しぶりに出して以来、ときどき縫いものをしています。つくったのはかご用の布ポーチ。いまの家をリフォームしたときに、前の主のおばあさんが遺した、会津木綿の反物を使いました。何十年も使われず、大切に取ってあった生地だったので、かごにサイズを合わせつつ、なるべくむだが出ないように裁断しました。ポーチだけでも使えるつくりにしています。

宮城県のあけび蔓職人・和島常男さんの小ぶりのかご。さわやかな浴衣地の反物からつくった布バッグ。持ち手に結ぶ紐を長めにして、ポーチ単体でも使えるように工夫した
三春での生活を始める際、自分でつくれそうなものはまずは手を動かしてつくってみようと思っていました。今年から小さな庭の畑で野菜づくりも始めました。花が咲いた、実がついた、などのちょっとしたことにも、大きな喜びがあります。育てた野菜をおいしく食べきるために、季節の保存食づくりにもチャレンジ中です。自分が楽しめる範囲で、それが暮らしの豊かさへとつながればと思っています。

畑で採れたミニトマトを天日で干し、その後塩をふってさらにオーブンで乾燥させてオイル漬けに。「こうすると旬の時季から長く楽しめます」。パンも全粒粉とスペルト小麦を合わせて焼いた自家製

乾燥させたヨモギを、蚊取り線香代わりに吊るす。綿の糸でくるくると巻き束ねて、セージブーケ風に。石牟礼道子さんのエッセイで知り、つくってみたそう
〈撮影/長谷川ちえ〉
長谷川ちえ(はせがわ・ちえ)
エッセイスト、生活道具を扱う「in-kyo」店主。「三春タイムズ」では、地元の季節の風景を生き生きと綴る。https://note.com/hasegawa_chie
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです