(『天然生活』2021年10月号掲載)
インテリアに合わせた収納で、素敵に見せる
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
ロシャン・シルバさんがプロデュースする「ラ・メゾン・アンシェンヌ」。古民家をリノベーションしたカフェ兼アンティークショップで、自宅でも応用できる収納のアイデアがたくさんあります。
ひときわ目を引くのは、天井から吊るした長い鍬(くわ)に洋服をかける収納。広い空間に手を加え、見せて収納する技はお見事です。DIYで収納というと、デッドスペースやすき間を生かす収納や、ものを隠すための棚やボックスづくりを思い浮かべがちですが、逆の視点にハッとさせられます。
「素敵に見せるコツは、インテリアに合わせて収納をしつらえること。ここのインテリアは、自然素材を生かした温かみのある“田舎暮らし”がコンセプト。収納に使う素材もそれに合わせ、素朴なものや味のあるものを選びました」
ほかにも、複数のかごを天井から吊るしたり、コレクションしている布やボタンを額に入れて飾ったり。そんな柔軟な発想は、どうやって生まれるのでしょうか?
「ふと思いつくんですよね。ただ、来ていただいたお客さんに、なんかいいなと思ってもらいたい気持ちがあって。常に、どうやったらもっと素敵になるか考えています。そうやって思考をめぐらすことが、新しいアイデアにつながっているのかもしれません」
天井から鍬を吊るして、ハンガーラックに
普通の棒だとつまらないからと、農具の鍬を利用してハンガーラックに。天井板を押さえる竿縁に釘を打ち、鍬を吊るした麻ひもを釘に引っかければ完成。
「洋服をかけてもいいし、洗濯ものを干すのもいいですね」
ハンガーラックのほかにも、同じ手法で飾られたかごやドライフラワーが。
「吊るすと部屋が立体的に生きてきます」
押し入れのふすまを外してリビングの空間に
カフェの一角。押し入れのふすまと中棚を外して壁に板を張り、カフェと同じ白にペイント。カフェとひと続きの空間に見えるようにした。押し入れスペースいっぱいにものを置かないのがポイント。
「広々していると気持ちがいい。いまは家にいる時間が長いので、見た目の心地よさも大事かなと思います」
大きな壁は棚を設置する格好の場所
棚受けと板を使って壁にオープンシェルフを設置。好きな場所に気軽に収納スペースを増設できるので、初めてDIYする方におすすめ。
「棚受けはホームセンターで購入しました。味のある古材を棚板に選ぶことで、周りの雰囲気になじませています」
日用品と一緒に雑貨を並べるとおしゃれに見える。
大事なボタンと布は、額縁に入れて壁に飾る
テキスタイルメーカーも営むシルバさん。自社で製作した布とボタンのなかから、とくに好きでコレクションしているものを飾りながら収納。
布にボタンを縫い付け、額縁の台紙に貼っただけ。広い範囲に複数飾るとギャラリーのような雰囲気に。
「大きな額縁の位置を決めてから、小さな額縁を配置するとバランスがとりやすいですよ」
増設した扉の上も見逃さず、収納に活用
シルバさんが考えるインテリアのコンセプト“田舎暮らし”のイメージに合わない無機質な浴室の引き戸は、大工さんの力を借りながら枠を増設し、趣のある引き戸をはめて、二重扉に。
上にスペースができたので収納として活用している。
「いまは雑貨を飾っていますが、入浴剤やシャンプーのストックなどを置くのにちょうどいいと思います」
〈撮影/小禄慎一郎 取材・文/小松﨑裕夏〉
ロシャン・シルバ(ろしゃん・しるば)
「ラ・メゾン・アンシェンヌ」と、カフェを併設したライフスタイルショップ「ラ・ヴィ・ア・ラ・カンパーニュ」のオーナー。アパレルブランド「ザ ファクトリー」のデザイナーや、植物由来の原料を主成分とした化粧品「アンビエンテ」の開発も手がける。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです