(『天然生活』2023年11月号掲載)
余計な出費をチェック
まずは自分の支出を見直しましょう
家計を見直そうと決めたら、1カ月でもいいので、家計簿をつけてみるのが第一歩。まずは、毎月必ず出ていく家賃やローン、電話代、保険料、お小遣いなどの固定費を書き出します。
そして、毎月変動する生活費は、ざっくりでよいので書きつけ、費目ごとに集計します。「食費」「医療費」「被服費」「娯楽費」「水道光熱費」など、自分がよく使う費目を設定してまとめましょう。最後に、収入と見比べて貯金ができているか、赤字になっていないかをチェック。
1カ月は家計簿をつけてみましょう
いまどきのお金の貯め方、使い方とは?
円安などによりエネルギーや食料価格が高騰し、物価が上昇しています。生活者にとっては、いつの間にか支出が増え、気づかぬうちに負担が大きくなってきている状況。これからの暮らしが不安になりますが……。
「だからこそ、いま対応しましょう」というのは、ファイナンシャルプランナーの横山光昭先生。
「いまの時代、使わないでためているだけでは財産は守れません。かといってやみくもに資産運用をすればいいというわけでもなく、攻めと守りのバランスをとって、家計防衛をする必要があります」
まず始めたいのは、いまの支出を見直して、余計な出費をしていないかをチェックすること。
「これまでの常識を疑うことが大切。当たり前のように払っていた電話代や保険料は本当に必要なのか、考えるときが来ています」
支出のむだをなくすことができたら、次はお金を増やすことも重要です。
「貯金だけしていればいい時代は終わりました。インフレに負けない投資を検討する必要があります。また、副業などで、収入の確保も考えたいですね。不安がるよりも、まずはできることから始めてみましょう」
支出には「消費」「投資」「浪費」があります
家計簿をつけたら、それぞれの支出を「消費」「投資」「浪費」に分けてみます。とくに気をつけたいのは「浪費」。本当は参加したくなかった飲み会や、衝動買いした嗜好品など、いわゆる“むだ遣い"の割合を改めて確認します。
「『浪費』の比率が高い人は、お金がたまらない傾向にあります。同じ飲み会でも、人脈づくりの場合は『投資』になりますが、少し厳しめに考えて、必要なかったと思うものは『浪費』にカウントして、気を引き締めましょう」
めざす比率はこれ!
目標は、月の生活費の7.5倍を貯めること
「お金は、『使う』『ためる』『増やす』の3つに分けること」と横山先生。そのうえで、「使う」口座に予備として生活費の1.5カ月分、「ためる」口座に生活防衛費として6カ月分の貯蓄を第一目標として提案しています。
「月々の生活費が30万円なら、『使う』口座には45万円、『ためる』口座には180万円以上あるようにしたいところです」
基本的にはこの目標を達成したうえで、そこから「増やす=投資」を検討するのが目安となります。
口座は3つに分ける
使っていい生活費は、週分けで管理して
月の収入から家賃などの固定費と、目標の貯蓄額を先に引きます。そうすると、1カ月に使っていい生活費が残るので、そのなかでやりくりすれば、自然にたまる家計になっていきます。
「生活費は週ごとに分けるのがおすすめです。1カ月10万円なら、5で割って、1週間2万円が予算です。余った分は翌週に回しても、ためておいてもOK」
さらに、「生活費は現金管理を推奨します。使える金額を“見える化”することが大事です」
キャッシュレスで予算管理するなら
「クレジットより即時決済のデビットカードがおすすめ」と横山先生。電子マネーなら、週予算分だけをチャージして。
財布は小さいほうがたまる
ポイントカードやクレジットカードが多いと、つい買い物しがち。最小限の現金だけ入れておけば、自然と使わなくなる。
まずは固定費の見直しから検討しましょう
家計の見直しというと、つい日々の節約から始めてしまいがちですが、一番に見直してほしいのは、「固定費にむだがないか」ということ。見直したい3大固定費といわれるのが、住居費、通信費、保険料。
住居費は引っ越しやローンの借り換えなど大がかりになりますが、電話代や通信代はぜひ見直してほしいところ。格安スマホへの乗り換え、プロバイダーの変更、不要なオプションの解約など、プランの見直しを。
格安スマホ
月3000円程度でデータ利用無制限などプランも豊富。格安スマホの窓口で相談するだけ。
電力
電力自由化により、ガスやガソリン、通信費などとのセット割が。比較サイトで検討を。
保険
若いときに入ったままなら、現在のライフスタイルに合わせ、解約も含め検討の余地あり。
※ 「年末前のお金の見直し」は、『天然生活』2023年11月号、P.62~67に掲載されています。
<監修/横山光昭 取材・文/尾崎真佐子 イラスト/はまだなぎさ>
横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント。お金の使い方そのものの根本的改善を目指し、これまで2万4000件以上の赤字家計を再生したファイナンシャルプランナー。『はじめての人のための3000円投資生活 新NISA対応版』(アスコム)、『お金を貯められる人のすごい習慣』(ぱる出版)ほか、著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです