(『天然生活』2023年11月号掲載)
安易に解約と契約をくり返さないで
若いときに入った保険のままという人は、一度きちんと内容を確認してみましょう。いまの自分には不要な項目が見つかることも。
ただし「保険の外交員や知り合いに勧められるがまま、安易に替えてしまわないでください。かえって損をすることがあります。また、すでに多くの保険に入っていて掛け金が負担になっている場合は、一部解約したり、払い込みを中止したりして保険内容を変更することで、月々の保険料を抑えるという手もあります」。
ライフステージに合わせて保障内容を見直しましょう
結婚、出産、子どもの独立、そして老後と、ライフステージが変わるときが保険の見直し時。人生のタイミングによって必要な保障は変わります。
「たとえば子どもがまだ小さいうちは、万が一のことを考えての死亡保障や、病気やけがで要介護状態や障害状態となって働けなくなったときのための収入保障保険を手厚くした方がよいでしょう」
公的保障では足りなくなる可能性があるので、自分に合うものを見つけるために、知識をつけることも大切です。
家族を支える収入保障保険
被保険者が死亡したり、要介護状態や障害状態になった場合、年金を毎月定額で受け取ることができる保険。小さな子どもがいる場合には必須といえる保障。
日本の公的保障制度は、意外と充実しています
国民年金や健康保険には、現役世代にも頼りになる保障が意外と充実しています。
「国民健康保険には、一定の限度額を超えると超えた分が払い戻される高額療養費制度がありますし、会社員や公務員なら、けがや病気で働けないときに傷病手当金を受け取れることも。国民年金では、障害状態になったときの年金制度や、大黒柱が亡くなった場合に遺族が年金を受け取れる制度もあります」
民間の保険に入る際は、公的保障で足りない部分を補うものと考えて。
高額療養費制度
1カ月に支払った医療費の総額から自己負担限度額を超えた分の差額が払い戻される制度。
傷病手当金
会社員や公務員が病気やけがなどで給与がもらえなくなったときに保険から補填される。
遺族年金
家族の生計を支える人が死亡した場合に、残された家族が年金を受け取れる制度。
保険で貯蓄はおすすめしません
保険の目的には大きく、医療・死亡・貯蓄の3種類があります。
「まずは、入院・手術と、がんなどの三大疾病の保障を考えて。次に、子どもがいたら死亡保障の検討を」
貯蓄を目的とした保険には、個人年金保険、養老保険、学資保険などが該当しますが、「現状の予定利率を考えるとメリットが少ない」そう。払込期間中に解約すると元本割れするというデメリットも。
「保障と貯蓄は分けて考え、保障は掛け捨て、貯蓄は投資で、という使い分けが理想です」
無料相談には注意を
ファイナンシャルプランナーの無料相談は、保険や不動産の商品に誘導されることが。中立的な意見をもらうなら有料を。
※ 「年末前のお金の見直し」は、『天然生活』2023年11月号、P.62~67に掲載されています。
<監修/横山光昭 取材・文/尾崎真佐子 イラスト/はまだなぎさ>
横山光昭(よこやま・みつあき)
家計再生コンサルタント。お金の使い方そのものの根本的改善を目指し、これまで2万4000件以上の赤字家計を再生したファイナンシャルプランナー。『はじめての人のための3000円投資生活 新NISA対応版』(アスコム)、『お金を貯められる人のすごい習慣』(ぱる出版)ほか、著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです