(『天然生活』2022年2月号掲載)
季節を楽しめる庭をつくる
冬は6時過ぎ、夏は4時過ぎから1~2時間、庭に出ます。
「この前、ムスカリやアネモネを植えたので春が楽しみ。最近はご近所の人と植物のやりとりもしています」
庭の草むしり、植物の挿し木、株分け。咲いた花は家に飾るほか、押し花にしてオリジナルのはがきにすることも。
「することは毎日いくらでもあるんです」
買い物手帳で頭のなかを整理
欲しいと思ったものは、ひとまず手のひらサイズのメモ帳にイラストと一緒に記入。
「いったん書くことで衝動買いも防げるし、どこで見つけたものかを忘れてしまったときにも見返せます」
一方、買ってよかったものも外国のペーパーバックの本をメモ帳がわりにして記録。
「もう一度買いたいと思ったときや、友人にどこで買ったか聞かれたときに便利です」
今日を記録して毎日と向き合う
20年以上、毎日更新しているホームページ。庭のこと、手づくりしたもの、心に残った本や映画、日用品についてなど、日常のことをひと言書き写真とともに掲載。
「深夜0時に自動更新されるので翌日に確認。『昨日、こんなことを考えていたんだな』と振り返り、自分を知ることができます。書くことで記憶に残るという利点も」
雨の日の家時間は、手を動かして工作
庭に出られない日は工作を。
「材料は買いそろえるのではなく、そうめんの木箱など、身のまわりにあるものを使います。時間があるときに材料を準備しておくので、何かつくろうと思ったとき、すぐに取りかかれます」
最近は使わなくなったイーゼルを解体してポスターフレームを制作(写真上)。ほかにも余っている木片を使って容器の蓋を制作中(写真下)。
日々続けることで、出合う楽しみもある
今回、石黒智子さんが教えてくれたのは、どれも数十年来続けていること。その歴史の長さと毎日の積み重ねに感服してしまいます。
「続けようとがんばっているわけではなく、自然と続いているんです。嫌だと思ったら続きませんから」
庭づくり歴はもう40年ほど。毎朝1〜2時間ほど、きれいな空気を吸いながら体を動かします。
「一番楽しいのは新しい植物を見つけたとき。種が飛んできて自然に生えてくるものもあるので『これはなんの花だろう?』とインターネットで調べてみるんです。長年続けていても知らない植物はまだまだたくさんあるし、興味は尽きません。気候や環境などが変化するから庭も毎日変わるし、必ず新しい発見があります」
雨で庭に出られない日は子どものころから大好きな工作を。こちらもつくるたびに新しく気づくことがあるといいます。
「自分にとって使いやすい道具や材料はなにかなど、手を動かしてみて初めてわかることがたくさんあります。それにひとつ完成すると、次もつくってみたくなるんです」
年齢による変化を受け入れ、柔軟な発想で楽しむ
昔は家具などもつくっていましたが、最近は大がかりなものは疲れるようになってきたため、小さなものをつくるようになりました。
「年を重ねると体力がなくなったり、忘れっぽくなったりするのは当たり前。それでも何ができるかなと考えると、思いつくことはたくさんあるんです。経験を積んだ分、知恵はあるのかも。面白いことはまだまだたくさんありますよ」
毎日を彩る楽しみは、わざわざ特別なことを見つけようとしなくても案外身近にあるもの。そして続けていけばいくほど、日々違った景色が見えてくるのです。
〈撮影/杉能信介 取材・文/嶌 陽子〉
石黒智子(いしぐろ・ともこ)
家事のアイデア、収納、道具の選び方など、暮らしにまつわる情報を独自の視点で発信。日用品のプロデュースにも携わる。著書に『60代シンプル・シックな暮らし方』(SBクリエイティブ)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです