大根の薬膳的効能ついて
大根は、消化酵素のアミラーゼやジアスターゼが豊富なことからわかるように、薬膳でも胃腸を助け、消化を促す食材とされます。
生で食すほうがこの働きは強くなりますが、胃腸を冷やすため、胃の弱い方や下痢しやすい人は、生食で食べすぎないように注意しましょう。
そのほか、体内の余分な熱を取り、肺を潤して咳を止め、痰を出す働きもあります。
のぼせやふらつきなど、気が上半身にあがって症状が出ているときに、気を下げる効果も期待できます。
【保存食】はりはり漬けのつくり方
パリパリと音がする食感から名づけられたはりはり漬け。昔は冬になるとずらりと大根を干して、たくあんとはりはり漬けをつくるのが習慣だったそうです。
切り干し大根や大根を4つ割ぐらいにして干した、割り干し大根でつくることが多いのですが、私は煮物などをつくる際にむいた皮を利用します。残りものをむだなく利用できるうえ、かたい皮もおいしく食べられるのでおすすめですよ。
大根だけでなく数の子やするめ、にんじんを加える地域もあり、これはお正月料理の松前漬けの原点ともいわれます。
材料(つくりやすい分量)
● 干した大根や皮 | 50g |
● 赤とうがらし | 1/2本 |
● 昆布3cm角程度 | 1枚 |
● A | |
・しょうゆ | 大さじ2 |
・酢 | 大さじ2 |
・みりん | 大さじ2 |
・酒 | 大さじ1 |
つくり方
1 大根の皮は、ざるに並べて1〜2日天日に干す。割り干し大根を使用する場合は、大根を縦に4つ割りにしてざるに並べたり、ひもで縛ったりして2週間ぐらい干す。
2 1の皮はキッチンばさみで2cm角程度に切る。割り干し大根は20分ぐらい水で戻し、水けをしっかりしぼってから2〜3cm程度に包丁で切る。昆布は細切りにする。赤とうがらしは種を取ってちぎる。
3 小鍋にAと赤とうがらし、昆布を入れて煮立てる。
4 清潔な保存びんに大根の皮を入れ、3が熱いうちに注ぐ。
5 冷めたらふたをして冷暗所に1日以上おく。
※冷暗所で1カ月ほど保存可能。
〈料理/山田奈美 イラスト/しらいしののこ〉
山田奈美(やまだ・なみ)
「東京薬膳研究所」の武鈴子氏に師事。東洋医学や薬膳理論、食養生について学ぶ。神奈川県葉山町のアトリエ「古家1681」にて薬膳の料理教室や発酵食品の教室を開催。季節の食養生を伝える活動を行う。著書に『いつもの食材と調味料で 体が整うごはん』(ナツメ社)、『菌とともに生きる 発酵暮らし』(ともに家の光協会)、『二十四節気のお味噌汁』(WAVE出版)などがある。
インスタグラム:@nami_yamada.tabegoto
YouTube:「山田奈美の発酵暮らし」