(『天然生活』2022年12月号掲載)
![画像1: Skantique店主・松崎由貴子さんに聞く、スウェーデンの冬の暮らし/北欧の冬の過ごし方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/01ac4072629b6c4b986157f5f37834c2723f5a25.jpg)
一期一会の幻想的な冬景色を目に焼き付けて
豊かな自然と伝統文化が息づくスウェーデン・ダーラナ地方に暮らして10年。北欧アンティークの店を営む松崎由貴子さんは笑顔でいいます。
「10月中旬くらいにパラッと雪が舞うので、今年もそろそろですね。私、いまだに初雪がうれしくて」
スウェーデンは南北に長い地形。中心部からやや北側に位置するダーラナ地方は降雪が多く、真冬はマイナス20℃前後まで気温が下がる日も。しかし昨今の世界情勢により電気代が上昇したことで、街の人たちは極力電気に頼らない工夫をしているといいます。
「私は首元、手首、足首を冷やさないようにして、手持ちの服を重ねて厚着します。部屋は厚手のカーテンに替えるくらいですが、これだけでも十分暖かくなります」
寒さから身を守る心強い味方が古い手編みの靴下です。買い付けで見つけたとても希少なもので、「はくと褒められる」とっておき。
そしてカーテンに使うのは、これまたなかなかお目にかかれない古い手織りのウールの布。土地に受け継がれてきた希少な手工芸品を大切に取り入れて、松崎さんは冬をいきいきと過ごしているのです。
長い夜は、家にこもるばかりではなく月光浴や星空観察へ。オーロラの予報アプリをこまめにチェックして、チャンスとあらば急いで観賞スポットに向かいます。朝は悪天候でないかぎり、湖や川まで散歩に行くのが日課です。
「オーロラもきれいですが、ふだんの景色も十分美しいんです。すごく寒い朝、湖面から湯気が立つ気嵐(けあらし)と朝焼けが重なると、この世のものとは思えないほど幻想的で。毎日、毎秒変わる自然の姿を浴びるように楽しむのが冬の醍醐味。スウェーデンに暮らしてよかったなと、いつも思っています」
![画像: 家から歩いて5分ほどの、湖に続く川を橋の上から撮影。「去年の11月ごろ、氷や霜がとってもきれいで、雪とは違う神秘的な景色があちこちで見られました」(松崎さん)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/e6b9278f9604a63dccdc32d02bb94fa7f5aae365.jpg)
家から歩いて5分ほどの、湖に続く川を橋の上から撮影。「去年の11月ごろ、氷や霜がとってもきれいで、雪とは違う神秘的な景色があちこちで見られました」(松崎さん)
スウェーデンの冬の楽しみ
冬小物でおしゃれに防寒を
![画像: スウェーデンの「MARIEDAL DESIGN」のもの。袖口から見せてアクセントに](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/620dfaab4813508b468e85d6986e35593e1ab065.jpg)
スウェーデンの「MARIEDAL DESIGN」のもの。袖口から見せてアクセントに
ウールのアームウォーマーとヴィンテージの靴下が活躍。「手首が温かいと体温が逃げず、全身がぽかぽかに。靴下は男性用だったもので大きめだから重ねばきにぴったり。室内、外出時も重宝します。手の込んだ美しいものだからこそ使って生かしたいなと」
![画像: 細い毛糸で美しい模様とイニシャルが編まれている](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/2987a4a0fb5c53514f38e0d8d91a1e9b8a9bd821.jpg)
細い毛糸で美しい模様とイニシャルが編まれている
![画像: 冬小物でおしゃれに防寒を](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/08/f74105581e3fa413293bbb9516b34197958584bd.jpg)
ウールのカーテンに衣替え
![画像: サンルームの窓に。2枚はぎ合わせたウールの毛布はとても珍しいそう](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/7de58c1f3f74a1c7bc943d1fe1f4198534357fff.jpg)
サンルームの窓に。2枚はぎ合わせたウールの毛布はとても珍しいそう
冬が近づくと、カーテンを薄手のコットンの布から厚手のウールの布に掛け替えます。「ヴィンテージの毛布がサイズ的にぴったりだったのでカーテン代わりに。築93年の家で多少すきま風がありますが、冷気をしっかり遮り、部屋が暖かくなります」
![画像: ウールのカーテンに衣替え](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/08/f74105581e3fa413293bbb9516b34197958584bd.jpg)
冬服を取り出しやすい場所に
![画像: 松の木を薄くさいて編んだふた付きのスポーンコリ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/eb68a66c184d32fcfa45acbd268ae690c0d4e91f.jpg)
松の木を薄くさいて編んだふた付きのスポーンコリ
たたんでしまう衣類はすべてかごに収納する松崎さん。衣替えは、夏服のかごと配置を変えるだけで完了。「冬服もすぐ使うものは上に、あまり着ないものやかさばるニットは下に入れます。帽子や手袋などの小物は、玄関の壁掛けのかごにしまっています」
![画像: 冬服を取り出しやすい場所に](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/08/f74105581e3fa413293bbb9516b34197958584bd.jpg)
ミルクティーを楽しむ
![画像: 紅茶はザクロ、ベルガモット、バニラ、レモンのオリジナルブレンド](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/88090c5b5de4b8ed399c4bab36b5c364ea11eb77.jpg)
紅茶はザクロ、ベルガモット、バニラ、レモンのオリジナルブレンド
住まいがある街、レクサンドの店のブレンドフレーバーティーがお気に入り。冬はホットミルクティーで楽しみます。「友人の料理家・星谷菜々さんのレシピでつくると、完璧な味に。朝に飲むことが多いですね。寒い日はよりおいしく感じます」
![画像: ミルクティーを楽しむ](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/08/f74105581e3fa413293bbb9516b34197958584bd.jpg)
スパルケンに乗って移動する
![画像: ハンドルを持って片足でこぎ、前に荷物や子どもを乗せることができる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/96716df2841cb2cda2a030d5cb171be7b5910879.jpg)
ハンドルを持って片足でこぎ、前に荷物や子どもを乗せることができる
ダーラナ地方では、ハンドル付きのそり「スパルケン」が移動手段として浸透。路面が凍るので歩くより安全なのだそう。「おばあちゃんたちもこれでスーパーに行ったりして、車より風情があるんです。私も大家さんのスパルケンを借りて乗っています」
〈写真/松崎由貴子 取材・文/熊坂麻美 イラスト/芳野〉
松崎由貴子(まつざき・ゆきこ)
![画像: スパルケンに乗って移動する](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2023/12/15/1cc81a80a9aff6dd8384fce179be29c772b3d37b.jpg)
7歳から日本で生活し、社会人になって再びスウェーデンへ。有名無名を問わない「美しいもの」を探し、日本の企画展などで販売。
インスタグラム:@skantique
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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