• 小さな暮らしの心地よさは、自分の手を動かしてつくること。そして、むだなく暮らす知恵や工夫は、暮らしを豊かにしてくれます。暮らしのちょっとしたものも、手づくりしてみると話す「in-kyo」店主の長谷川ちえさんに、おすすめのレシピを教わりました。
    (『天然生活』2023年2月号掲載)

    つくれるものはつくってみる暮らし

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    東京から福島県三春町に移住して、7年目。以前にも増して、手を動かしてものをつくること、暮らしの諸々を創意工夫することをごく自然に行うようになったという長谷川ちえさん。

    庭の一角を野菜やハーブの畑にしたり、味噌や梅干しなどの保存食を仕込んだり。

    画像: 8~9種類の植物が育つハーブ畑。「食べ物に使うのがメインですが、ゆず湯感覚でお風呂にもよく使います」

    8~9種類の植物が育つハーブ畑。「食べ物に使うのがメインですが、ゆず湯感覚でお風呂にもよく使います」

    しかし田舎住まいは一方で、素材が次々に収穫され、季節仕事に追いかけられる暮らしでもあります。そして手仕事が続くのはやはり、完成したものを口にするご褒美時間のおかげ。

    画像: 畑で育てた赤とうがらし。「香りに含まれる成分が虫よけになるらしく、ほかのハーブを守ってくれました」

    畑で育てた赤とうがらし。「香りに含まれる成分が虫よけになるらしく、ほかのハーブを守ってくれました」

    暮らしのちょっとしたものも、市販品ではなく手づくりを。「これも自分でつくれるんだ」という新鮮な喜びが生まれます。

    「自分で仕込んだからという贔屓目もずいぶん入っていると思いますが(笑)、『ああ、おいしい! 』と思えることが何よりうれしい。これがあるからこそ『また次もがんばろう』と思えるんです」

    「ペッパーソース」を手づくりで

    「そういえば『タバスコ』って、シンプルな材料でできているんだよね」

    夫のそんなひと言から、「自分たちでもつくれるかな? 」という話に。自作してみたら、ほぼ近い味わいを再現でき、市販品以上に香りも豊か。麺類や炒めものに加えるなど幅広く使えます。

    画像: この日は水餃子の調味料として活用。辛味や酸味、うま味や塩味が一体となって、食が進む

    この日は水餃子の調味料として活用。辛味や酸味、うま味や塩味が一体となって、食が進む

    ■「ペッパーソース」のつくり方

    材料(つくりやすい分量)

    ● 赤とうがらし(生、種を取る)150g
    ● アップルビネガー75g(赤とうがらしの50%)
    ● 塩7g(赤とうがらしの3~5%)

    つくり方

     フードプロセッサーに赤とうがらしを入れ、攪拌する。細かくくだけたらアップルビネガー、塩を加えて再び攪拌する。

     清潔な瓶にを入れ、冷蔵庫で約1カ月熟成させる。

    ※とうがらしは刺激が強いので、必ず手袋をして作業すること。

    画像: 冷蔵庫でねかせるうちに酢のツンとした感じがまろやかになり、奥行きのある味わいに熟成される

    冷蔵庫でねかせるうちに酢のツンとした感じがまろやかになり、奥行きのある味わいに熟成される

    「ハーバルバス」を手づくりで

    一日の終わりを締めくくる入浴時間は、その日の疲れをさっぱり流しリセットする大事な時間。

    たくさんの人と接した日、パソコン仕事で疲れがたまった日などはとくに、ハーブの力を借りてリフレッシュを。ハーブが育つ間はフレッシュを使い、その後は乾燥させたものを活用します。

    画像: 秋が深まり、霜が降りるようになったらフレッシュは終了。冬の間は乾燥させたハーブを活用する

    秋が深まり、霜が降りるようになったらフレッシュは終了。冬の間は乾燥させたハーブを活用する

    「清々しい香りに包まれると自然と呼吸も深くなり、リラックスしてスムーズに眠りへと移行できます」

    画像: 「エプソムソルト」は、天然ミネラルをたっぷり含んだ入浴剤。無臭なのでハーブとも合わせやすい

    「エプソムソルト」は、天然ミネラルをたっぷり含んだ入浴剤。無臭なのでハーブとも合わせやすい

    ■「ハーバルバス」のつくり方

    材料(浴槽1杯分)

    ● ローズマリー(生)1枝
    ● スペアミント(生)1枝
    ● エプソムソルト大さじ5~ (好みで量を加減する)
    ● お茶袋1枚

    つくり方

     ローズマリー、スペアミントは葉を枝から外し、お茶袋に入れる。

     浴槽に、エプソムソルトを入れ、お湯をためる。



    <撮影/有賀 傑 取材・文/田中のり子>

    長谷川ちえ(はせがわ・ちえ)
    エッセイストとして活躍しながら、2007年東京・蔵前に生活道具を扱うお店「in-kyo」をオープン。2016年に福島県三春町に移住・移転。夫と2匹の猫スイ、モクと平屋の一軒家に暮らす。著書に『三春タイムズ』(信陽堂)がある。現在自宅そばで「in-kyoのとなり」を建設中。2023年3月には素描家・shunshunさんの個展を開催予定。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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