(『天然生活』2020年3月号掲載)
ゆっくりチクチク、手を動かして。中川たまさんの冬の夜長仕事
手縫いの針仕事に没頭する
ミシンもあるけれど、縫いものはもっぱら「手縫い派」という、たまさん。針刺しやコースターなど、小さなものを手づくりするのも夜長仕事のひとつ。
「これくらいのものなら、気が向いたときにサッと取りかかれる手軽さがいいんです」。椅子の座面に合わせて、ひとつずつつくったという座布団も手縫いで。「引っ越しをしたばかりなので、近々、カーテンの端の処理もしようと思っています」
セーターの毛玉をハサミで切る
「セーターの毛玉はどうしても出てきてしまうんですよね」とたまさん。
毛玉取りなどを使ったこともあったけれど、カシミヤなどやわらかい素材だと傷むことも気になり、一番手っ取り早くて効果的なのはハサミで切ることだといいます。
「気になるところをチョキチョキするだけ。明日、着ようかなと思っているセーターの毛玉をちょっとやっておくだけで、翌朝、気分よく着られます」
オイルと柑橘で部屋を加湿する
乾燥が気になる際、部屋の加湿に活用しているのが、「イムネオール」というオイル。ウォーマーに水と柑橘の皮を入れて、イムネオールを数滴垂らしキャンドルを灯せば、ミントやクローブなどの精油と柑橘の香りが広がります。
「このオイルは皮膚に原液を直接塗ることができるので、頭が痛いときにこめかみに塗ることもあります。スーッとして気持ちよく、痛みが和らぎます」
チクチクと手を動かして、家族の帰りを待つ
料理家の中川たまさんに夜時間について伺うと「最近は夫も娘も帰りが遅いので、夕食はひとりで先に食べることも多くて。そのあとはゆっくり家事をすることが多いですね」とのこと。
「娘が高校生までは朝も早かったけれど、いまは大学に通っているので、すっかり朝が遅くなって。私も朝はできるだけ寝ていたいから、夜のうちにいろいろ済ませてしまうことが多いんです」
ジャムやコンポートをつくったり、セーターの毛玉をはさみで切ったり、ウールの靴下のかかとを繕ったり。
夜時間ならではの家仕事は、子どもも大きくなり、黙々と作業できる時間ができたからこそだと振り返ります。
家族の帰りを待ちつつ、コトコト、チクチクと手を動かして。明日を心地よく過ごすために、たまさんの夜長仕事は続きます。
〈撮影/砂原 文 取材・文/結城 歩〉
中川たま(なかがわ・たま)
四季折々の食材を使った料理や保存食を提案。暮らしぶりやもの選びにも定評がある。著書に『いも くり なんきん、ときどきあんこ』(文化出版局)など。
インスタグラム:@tamanakagawa
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです