(『天然生活』2020年3月号掲載)
クエン酸で落ちる、アルミ鍋の黒ずみ
「これは、せいろを使うときに使っているアルミ鍋ですが、水を繰り返し沸かすと、こんなふうに黒ずんでしまうんです」
そんなときは、湯を沸かしてクエン酸を加え、15分ほどグツグツと煮るだけ。
「酢でも試してみましたが、クエン酸のほうが効果がありました」
Before
After
ざるの手入れは素材に合わせて
お店でも取り扱いの多い、ざる類。竹ざるやステンレス製など大きさや種類もさまざま。
「自然素材なら洗剤は使わずに水洗いしたほうがいいですね。毛のやわらかいブラシやたわしがおすすめです」
目の細かいステンレスなら、ときどき火に当てて“焼き切り”を。
自然素材の場合
溜め水をして、たわしなどでやさしく洗うと水跳ねが少なく、傷みにくい。水けが残っていると、かびることがあるので洗ったあとはしっかり乾燥させて。
ステンレスの場合
深さのある茶漉しは二重構造になっているため、細かい茶葉が残ってしまうことも。
「素材によってはこげる場合もあるので、注意して遠火からお試しを」
道具を長く使いたいから
築40年ほどの自宅を改造し、2年前に台所道具を取り扱う実店舗を構えた土切敬子さん。
黒ずんでしまったアルミの鍋をクエン酸できれいにする、ざるなら竹など自然素材のものはやわらかいブラシで洗う、ステンレスのものはときどき焼き切りをしてごく微細なごみなどを取り除くなど……。道具に合わせて、手入れ法もさまざまに異なります。
道具を長く使いたいから――。土切さんの手入れを見ていると、そんな思いを感じさせます。
「実験感覚で楽しんでいるところもあるんです。お客さんに“これいいですよ”と教えてもらうこともあったりして」
そういったやり取りが楽しいんです、と笑う土切さん。
アルミ鍋の黒ずみ落としに使ったクエン酸は、「これで試してみてください」と小袋に分けてお客さんに差し上げることもあるのだとか。
台所道具を知り尽くした土切さんならではのお手入れ方法。
それは、台所道具を愛するゆえの思いやりから生まれるのかもしれません。“使ってこそ”の台所道具。長く気持ちよく使うため、今宵も道具の手入れにいそしみます。
〈撮影/大森忠明 取材・文/結城 歩〉
土切敬子(つちきり・けいこ)
テキスタイルの企画デザインの職を経て、2017年、東京・三鷹市で台所道具の専門店「だいどこ道具ツチキリ」を開く。夫と娘の3人暮らし。
インスタグラム:@daidoko_tsuchikiri
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです