• サステナブルな自給自足生活で25年。千葉・いすみ市に暮らし、田畑つき古民家スペース「ブラウンズフィールド」を開いている、マクロビオティック料理研究家の中島デコさん。週末だけ営業するヴィーガンカフェ「ライステラスカフェ」を開いたのは、なりゆきだったそうです。そのお話を教えていただきました。
    (『中島デコのサステナブルライフ』より)

    カフェの始まりはなりゆきだった

    画像1: カフェの始まりはなりゆきだった

    「将来かわいいカフェ、やってみたい!」「ヴィーガンカフェを開くの、夢です」って人、わりかし多いのだけど、私は一度も思ったことがない。

    だって、来るか来ないかわからない人のために、料理を作って待つって大変じゃない?

    立地がよければ家賃は高いし、へんぴな場所だと集客が難しい。保健所対応、仕入れ、在庫管理、棚卸し、経理、税金……。いろいろ煩雑なこともついてくる。私の器量じゃ無理~!

    じゃ、なんでカフェを始めたの? ってことですよね(笑)。

    1999年にいすみ市に引っ越したのは、種を蒔(ま)く生活がしたいって思ったから

    でも最初はなかなかうまくいかず。

    画像2: カフェの始まりはなりゆきだった

    その上、うっかり田んぼも始めてしまったからもう大変。

    家事、子育て、大工仕事、出張の料理教室、原稿書きetc.もうキャパオーバー。

    そのうち、なんだか私のエッセイ本を読んだ人やら、田舎暮らしの取材を受けて載った雑誌を見た人やら、噂を聞きつけた人やらが、ウチに見学に来るようになった。

    家事していようが、畑仕事していようがおかまいなし。知らない人が、庭をうろうろして話しかけてくる。うれしいし、私もつい手を止めて話し込む。お茶を出す。

    昼近くになって、「これからお昼ごはんを作るのですが、ご一緒にどうですか?」と言うと、誰も断らない(私も逆の立場なら断らない。笑)。

    お客さん対応と、作業の日を分けるために

    結局、やりたいことは進まない。

    そこでひらめいた。お客さんを週末に固めるのはどうかな?

    そうすれば、お客さん対応と作業の日を分けることができる。

    農機具小屋を小ぎれいにして、「お茶1杯いくら おむすび1個いくら」とか書いておけば、少しは収入になるかも? という、よこしまな考えから、勢いで始まってしまったカフェなわけで。

    その頃ウーファー(*)でいた子たちに相談すると、「いいですね。やりましょう! 改築手伝います」「私はメニュー考えて、お料理作ります」と言う。
    *ウーファー……WWOOFの体験をする人。WWOOFは食事と宿泊場所を提供するホストと、労働力を提供するウーファーが、お金のやりとりをすることなく交流するシステム。

    画像1: お客さん対応と、作業の日を分けるために

    そこで、ご近所に住むモザイクアート職人さんを巻き込み、教えてもらいながらモザイクを一緒に貼ったり。陶芸家さんも巻き込み、イメージを伝えて食器を作ってもらったり。

    遊びついでに、バリ島に家具を買い付けに行ったり、保健所に申請に行ったりして、あれよあれよと2006年、カフェが立ち上がった。

    画像: 写真提供/ブラウンズフィールド

    写真提供/ブラウンズフィールド

    名前はバリ島の棚田が美しくて好きなので、「ライステラスカフェ」

    そこから、15年以上。よく続いているな。

    そして、いろんな人たちにお世話になったなぁ。本当にありがとうございます。

    本記事は『中島デコのサステナブルライフ』(PARCO出版)からの抜粋です

    〈写真/阿部 了〉

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    画像2: お客さん対応と、作業の日を分けるために

    中島デコ(なかじま・でこ)

    16歳でマクロビオティックに出会い、25歳から本格的に学び始める。1999年、千葉県いすみ市に田畑つき古民家スペース「ブラウンズフィールド」を開き、 世界各国から集まる若者たちとともに、持続可能な自給的生活を目指す。

    ブラウンズフィールド内に、田園を望む「ライステラスカフェ」、イベントスペース「サグラダコミンカ」、ナチュラルオーベルジュ「慈慈の邸」を次々とオープンする。

    現在、10人前後のスタッフと共同生活し、子どもや孫たちに囲まれ、 サスティナブルスクールや各種イベント、ワークショップの企画運営をしつつ、国内外で、講演会やマクロビオティック料理講師として活躍中。

    『中島デコのマクロビオティック パンとおやつ』『中島デコのマクロビオティック ライステラスカフェ』『中島デコのマクロビオティック 玄米・根菜・豆料理』(すべてパルコ出版)ほか、料理本やエッセイ等、著書多数。

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    『中島デコのサステナブルライフ~人も地球も心地よい衣食住・農コミュニティ~』(中島デコ・著/PARCO出版)

    『中島デコのサステナブルライフ~人も地球も心地よい衣食住・農コミュニティ~』(中島デコ・著/PARCO出版)

    画像: 中島デコさんがヴィーガンカフェ「ライステラスカフェ」を開いた理由|中島デコのサステナブルライフ

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