• サステナブルな自給自足生活で25年。千葉・いすみ市に暮らし、田畑つき古民家スペース「ブラウンズフィールド」を開いている、マクロビオティック料理研究家の中島デコさん。なりゆきでオープンしたというヴィーガンカフェ「ライステラスカフェ」は、廃棄率ゼロだそう。そのお話を伺いました。
    (『中島デコのサステナブルライフ』より)

    「おいしい」ありきのマクロビオティックのカフェ

    カフェで店長をやったりスイーツを作ったりした子たちのなかには、卒業してからヴィーガン料理家さんになったり、カフェを始めたり、スイーツを売ったり、自分の場所を作ったりして、活躍している人がかなりいる。

    毎週末に料理やスイーツを作っていると、鍛えられるよね。みんな素晴らしい!

    カフェのコンセプトとしては、肉・魚・卵・乳製品などの動物性食品や白砂糖、添加物を使わず、季節の野菜と穀物中心のマクロビオティック仕様

    なのだけど、「マクロビオティックのカフェです」っていうとハードルが高くなってしまうから、食べてみて、「え!? こんなに美しくて、おいしくて、満足するのに、動物性食品を一切使ってないの? しかも体によいのでしょ? これなら自分も真似(まね)して作ってみよう!」って思ってもらえるようなプレートを目指している。

    材料は、全部オーガニックでそろえられているわけではないけれど、できる範囲でなるべくオーガニック食材を使うようにしている。

    一番味わって食べていただきたいのが、ブラウンズフィールドでとれた、手植え・手刈り・天日干しの自然栽培玄米をかまどで炊いた羽釜ごはん。

    画像: 「おいしい」ありきのマクロビオティックのカフェ

    その他の野菜は、そのときそのとき、ブラウンズフィールドでとれるものを中心に、手に入らないものは、近所のオーガニック農家さんから仕入れたり、産地直売所で購入したりする。

    調味料は種からつないでいる自家製自然栽培大豆と米、麦を使ったしょうゆ、みそ。

    ブラウンズフィールドの庭で採れた柿で作った柿酢や、やはり庭で採れた梅で作った梅干し、梅酢。ぶどうやかぼす、ヤマモモやキウイの酵素ジュース。自家製みりん。みりん粕、しょうゆ粕も駆使して料理を作る。

    廃棄ゼロ、は楽しみながら

    画像1: 廃棄ゼロ、は楽しみながら

    でも、なんといってもカフェの自慢は、「廃棄ゼロ」。もう1回言っちゃうよ。「廃棄ゼロ!」。これって食品業界では、ほぼないこと。

    現在日本では、食べられるのに廃棄される食料が1年間で約500万トン!(2021年度推計)。自給率40%割ってるのに、この廃棄の量、ありえない!

    まぁ、ウチは小規模だからということもあるけど。とにかく、捨てない。

    お客さんが、たくさんいらしてくださり、売り切れたら、それはそれで万々歳。みんなで喜ぶ。

    あまりいらっしゃらなくて、余ってしまうと、「カフェごはんの残りが食べられる~!」と、これまたみんなで喜ぶ(笑)。

    ボウルに残ったドレッシング。鍋に残った煮汁。揚げ油。天かす。溶き粉、パン粉などなど、全部まかないで工夫、リメイクしてみんなでいただく

    食べられない野菜クズはヤギに。玉ねぎの皮とかヤギも食べられないものは、コンポストに。これはいずれは土となり、循環していく。

    画像2: 廃棄ゼロ、は楽しみながら

    もちろん、完璧にできるわけではないけど、なるべく無駄なく使いきるようがんばっている。

    どの店舗でも、廃棄を少なく、もしくは、いろんな形で循環させられたらいいのにね。

    都会のようにコンポストとかできない地域でも、行政が集めて堆肥を作って住民に配るくらいなら、税金で十分できると思うのだけど……。

    でも、そもそも、廃棄する食材が添加物だらけだったら、しょうもない。よい土にもならない。

    ある養豚業者が倹約して、廃棄処分のコンビニ弁当を豚に毎日3kg食べさせたら、羊水がドロドロに濁り、死産や奇形が増えたと聞く。

    それ、食べ続けている人間どうよ? 人口削減してるよね。もう。エビデンスは? 都市伝説じゃね? とか言ってる場合じゃない。

    もっと、多方面でよく調べて、よく見て、感じて、自分の感覚を信じてね。そうやって自分を、そして家族を守ってね。

    もちろん、とらわれすぎてガチガチになるのも違うと思う。楽しくないからね。サラリとスマートに、上手にこだわっていけたらいいね。

    画像: 写真提供/ブラウンズフィールド

    写真提供/ブラウンズフィールド

    ということで、最寄りの長者町駅から徒歩50分。と、なかなかたどり着くのにハードルが高いカフェではありますが、ぜひいらしてくださいね~。

    本記事は『中島デコのサステナブルライフ』(PARCO出版)からの抜粋です

    〈写真/阿部 了〉

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    画像3: 廃棄ゼロ、は楽しみながら

    中島デコ(なかじま・でこ)

    16歳でマクロビオティックに出会い、25歳から本格的に学び始める。1999年、千葉県いすみ市に田畑つき古民家スペース「ブラウンズフィールド」を開き、 世界各国から集まる若者たちとともに、持続可能な自給的生活を目指す。

    ブラウンズフィールド内に、田園を望む「ライステラスカフェ」、イベントスペース「サグラダコミンカ」、ナチュラルオーベルジュ「慈慈の邸」を次々とオープンする。 現在、10人前後のスタッフと共同生活し、子どもや孫たちに囲まれ、 サスティナブルスクールや各種イベント、ワークショップの企画運営をしつつ、国内外で、講演会やマクロビオティック料理講師として活躍中。

    『中島デコのマクロビオティック パンとおやつ』『中島デコのマクロビオティック ライステラスカフェ』『中島デコのマクロビオティック 玄米・根菜・豆料理』(すべてパルコ出版)ほか、料理本やエッセイ等、著書多数。

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    『中島デコのサステナブルライフ~人も地球も心地よい衣食住・農コミュニティ~』(中島デコ・著/PARCO出版)

    『中島デコのサステナブルライフ~人も地球も心地よい衣食住・農コミュニティ~』(中島デコ・著/PARCO出版)

    画像: 中島デコさんが営む「廃棄ゼロ」が自慢のライステラスカフェ|中島デコのサステナブルライフ

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