(『天然生活』2023年4月号掲載)
「出す」に意識を向けると気持ちが楽になる
会社員時代に婦人科系のさまざまな疾患に悩み、根本的な体質改善を目指して、食養生の道へと進んだ中島さん。学び始めた当初はかなり厳格に「口に入れるもの」を選んでいました。しかし続けるうちに、意識が少しずつ変わってきたといいます。
「東京で子育てや人づきあいをしながら暮らしていると、食べるものすべてをオーガニックや無添加にこだわっていくことはできません。ストイックにやろうと思うほど、ストレスもたまっていきます。何より食は人と『楽しい場』を共有する機会でもあるのに、それが楽しくなくなってしまうのはさみしく思えました」
そこで中島さんが切り替えたのは、たとえ不用なものが入ってきても、 「すぐに出せる、めぐりのいい体」にすること。「あれはダメ」「これもダメ」と入れるものに敏感になりすぎるのではなく、「ちゃんと出せるから大丈夫」と、意識を変革させたのです。
「もとは冷えやすい体質ですから、普段から意識して体を温める素材や気のめぐりをよくする食材をよく食べるようにしています。何となくむくみを感じたら、デトックスがきちんとできていないサイン。少しでもその気配を感じたら、水分代謝をアップさせる食材も加えていくようにしています」
私の春のデトックス法
春のデトックス
苦味のある野菜を意識して食べる
春は冬の間にため込んだものを排出する、デトックスシーズン。この時季に旬を迎える菜の花や、たらの芽、ふきなど山菜類は、高い解毒作用で知られています。中島さんもごまあえや白あえ、ナムルなどにして、毎日のように食べているそう。
「薬膳は季節が始まる前から先取りして準備を始めるので、2月の頭くらいから食べるように。ほろ苦い味を口にすると、春が来るなあとうれしくなります」
春のデトックス
ひと息つきたいときはよもぎ茶で一服
日本では古くから薬草として活用されてきたよもぎも、血液をサラサラにし、利尿作用で体内に蓄積した老廃物を排出してくれる効果があります。
「都内ではなかなか状態のいい生のよもぎを手に入れるのは難しいですが、タイミングよく出合えれば摘むように。ごはんに炊き込んだり、天ぷらにしたり。乾燥してお茶として保存しておくと使いやすく、春はとくに意識して飲むようにしています」
春のデトックス
毎日のお風呂時間に入浴剤をひと工夫
毎日お風呂にじっくりつかるのも、中島さんのデトックス習慣。体が温まると血行がよくなり、それによって新陳代謝が活発になり、老廃物などの排出が促進されます。
お湯にはいつも入浴剤を加えて、さらに効果を高める工夫も。
下北沢のハーブ専門店「ネロリハーブ」でブレンドしてもらったオイルを加えたバスソルトで、リラックス効果をアップ。ブラックソルトは保温効果をさらに高めます。
<撮影/濱津和貴 構成・取材・文/田中のり子>
中島芙美枝(なかじま・ふみえ)
ニューヨークの大学を卒業後、テレビ・広告関係の会社に勤務。体の不調から食の大切さに目覚め、2014年より「やまと薬膳」オオニシ恭子さんに食養を学ぶ。2017年独立。都心郊外にアトリエ「atelier MARU」を主宰し、料理教室、ワークショップ、ケータリングなど幅広く活躍。現在初めての書籍を制作中。https://www.fumienakajima.com/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです