(『天然生活』2023年4月号掲載)
なかしましほさんが韓国で出合ったお菓子
韓国の屋台のおやつに魅了され、たびたび訪れては甘いものを食べ歩くようになったというなかしましほさん。韓国スイーツといえば華やかなイメージもありますが、気取らないベーシックなおやつに魅力を感じたといいます。
「韓国のお菓子は材料がシンプルで、素朴なおいしさ。だから食べ飽きることがないんです」
韓国のカフェで定番のかわいらしいケーキや焼き菓子に、アツアツの屋台おやつや、滋味深い伝統菓子。今回教えてくれたのは、なかしまさんが現地のさまざまな場所で出合ったお菓子をアレンジしたもの。薬菓やカンジョンなど日本では聞きなれないものもありますが、不思議とどこか懐かしく、ほっと落ち着く味わいです。
「ほとんどが日本にある材料でつくることができます。でも、使い方が日本と少し違うところが面白いですよね」となかしまさん。
たとえば、よもぎのマドレーヌ。日本ではよもぎを主に和菓子で用いますが、韓国ではマドレーヌやケーキ、ラテにも使い、若い世代にも愛されています。新鮮さがありながらも口になじむお菓子たちは、日常のおやつにもおすすめです。
「今回のレシピはふだんのお菓子づくりと変わらず、どれも難しい工程はありません。構えずに、ぜひ気軽につくってみてください」
「トシラクケーキ ホワイト」のつくり方
小ぶりのホールケーキをランチボックスに入れて。トシラクはお弁当という意味。
韓国にはオーダーメイドできるカフェや専門店がたくさんあります。
材料(直径12cmの丸型1台分)
<スポンジ> | |
・ 卵 | 90g(約1.5個分) |
・ 上白糖 | 45g |
・ 薄力粉 | 45g |
⚫︎ A | |
・ 牛乳 | 大さじ1 |
・ バター(食塩不使用) | 10g |
<シロップ> | |
・ 上白糖 | 小さじ1 |
・ 熱湯 | 大さじ1 |
<クリーム> | |
・ 生クリーム(乳脂肪分37%) | 150mL |
・ マスカルポーネチーズ | 30g |
・ グラニュー糖 | 20g |
⚫︎ バナナ | 1/2本 |
⚫︎ タイム | 適宜 |
下準備
⚫︎ 型にオーブンシートを敷く。
⚫︎ Aを湯せんにかけてバターを溶かし、保温しておく。
⚫︎ オーブンは160℃に予熱する。
⚫︎ シロップの材料を合わせて砂糖を溶かし、冷ましておく。
つくり方
1 卵、砂糖を入れて湯せんにかけながらハンドミキサーで泡立てる。人肌に温まったら湯せんをはずし、生地がもったり重なるまで泡立てる。低速にしてさらに1分間泡立てる。
2 薄力粉を2回に分けて加え、そのつど、へらで粉けがなくなるまですくい上げるように混ぜる。そこからさらに30回ほど混ぜる。
3 溶かしバターの器に、2をひとすくい入れ、泡立て器でよくなじませる。これを2の残りに加え、ムラがなくなるまで手早く混ぜる。
4 型に流し入れ、160℃のオーブンで30分焼く。型から出して網の上に置き、側面のシートを取る。粗熱が取れたらビニール袋にふわっと入れて、しっかり冷ます。
5 クリームをつくる。ボウルにクリームの材料を入れ、氷水にあてながらハンドミキサーで泡立てる。ゆるく角が立つまで泡立てる。
6 4の底のシートをはがし、スポンジを半分の厚さにスライスし、下半分の断面にシロップの半量をハケで打つ。クリームを薄くぬり、輪切りにしたバナナを並べクリームで覆う。上半分を重ね残りのシロップを打つ。クリームを上と側面にもぬり、冷蔵庫で30分冷やす。
7 タイムをふちに沿って飾る。
<料理/なかしましほ 撮影/高橋ヨーコ スタイリング/荻野玲子 取材・文/omo!(土田理奈、後藤涼子)>
なかしま・しほ
新潟県生まれ。レコード会社、出版社に勤めた後、ベトナム料理店、オーガニックレストラン勤務を経て料理家に。2006年、東京・国立におやつの店「foodmood」をオープン。毎日食べたくなるやさしい味わいのお菓子が人気を博している。『たのしいあんこの本』(主婦と生活社)など多数の著書がある。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです