(『天然生活』2023年8月号掲載)
面倒は先に済ませて一日の始まりをつくる
色や雰囲気、音楽、幼いころの憧憬など、自分の「好き」を繊細にデザインへ映したマスキングテープや紙ものが人気の、「ヨハク」の渡邊かおりさん。作品同様に美しく整えられた住まいに、さぞかしお掃除好きの収納上手? と思いきや、「掃除は大嫌いですよ〜」と意外な答えが。
「面倒でやりたくないからこそ、先に終わらせてためないようにしています。そのつど済ませておいたほうが、あとあと大変にならないということを、経験上身にしみてわかったからですね」と、その秘訣を教えてくれました。
渡邊さんの家事スタイルは、きれい好きのお母さまから受け継いだ昔からの習慣に、北海道北広島市にある雑貨店「かくれ家」で働く友人のアイデアが加わったもの。自分が気持ちよく過ごせる清潔感と、無理せず続けられる“楽さ”が仲良く同居しています。
「母はコップひとつもシンクに残すのが嫌で、すぐに洗ってふき、棚にしまうタイプ。私もモノを出しておくのは嫌ですが、完全に乾いてからしまいたいし、基本は面倒くさがり屋です。だから食器洗いは基本的に食洗機にお任せ。食器を使ったらそのつど食洗機に入れておき、夜に1回スイッチをオンするだけ。朝にはピカピカになっています」
暮らしをいかに楽しくするかという工夫をいくつも教えてくれたという先の友人は、整理収納アドバイザーでもあります。教えてもらって重宝している知恵のひとつが、丈夫なキッチンペーパー2枚を一日分の台ふきんに使うというアイデアです。
「ふきんって、別で分けて洗うのも面倒だし、キッチンに干す見た目も好きではなく、それにたまに漂白剤につける必要もあるなど、清潔にしておきたいけれど、私にとって苦手なことが多いと感じていました。でも、このアイデアでそのストレスが全部なくなりましたね。調理中、水滴が飛んだり、油が跳ねたりしたところ、コンロの五徳なども、汚れたらそのつどふいて。丈夫なペーパーなら、何度洗っても破れることがありません」
ふいて洗ってを繰り返し、一日の終わりにキッチンまわりの汚れをすべてふき取ったら、一番最後に洗面台や床ももれなくふいてごみ箱へ。
汚れを明日に持ち越すことがなく、ふきんを洗って干す手間もなく、一石二鳥です。
面倒を先延ばしにしたくない渡邊さんは、朝の家事の比重が大きめ。これが、あとあと苦にならない渡邊さんの家事リズム。
いつもの家事を手早くこなすことで、スッキリとした状態で渡邊さんの一日が動き出すのです。
朝の家事リズム
朝05:50 かるく
夜の間に食洗機が洗った食器や調理器具を棚へ戻す
夜にスイッチを入れた食洗機が、しっかり完了している朝。
「洗浄時間は2〜3時間ですが、高温で洗いあげるので、朝にはカラカラに乾いている状態。ふく手間がなく、あとは棚に戻すだけなので楽ですよ」
食洗機が使えず、手洗いして伏せておいた食器類も朝には乾いているので、同じタイミングで元の収納場所に戻します。
朝05:55 かるく
お弁当づくりは朝晩に分けて片づけながら調理する
どんなに仕事が忙しくても、息子さんのお弁当はすべて手づくり。
「家族が一番大事ですから。簡単なものですが、朝だけでは間に合わないので、夜に準備した食材を朝に調理して仕上げます。息子の好物の玉子焼きは必ず入れて」
今日一日台ふきんに使うキッチンペーパー2枚分を手に、片づけながら調理を進めます。
朝07:25 しっかり
ほこりを取り、すべての部屋に掃除機をかける
家の中に箱があるような形で部屋が仕切られ、その仕切り壁の上面に照明が設置されている、渡邊家。
「ここにほこりがたまるので、ハンディーモップで撫でるようにして取り除きます」
あとは3つのステップフロアすべての部屋に、手早く掃除機を。全部屋といっても毎日かけていると短時間で終わり、結果効率がいいのです。
朝の時間割
05:45 | 起床・洗濯機を回す |
05:50 | 食器を棚へ戻し、お弁当づくり |
06:25 | 息子を起こし朝食準備 |
06:45 | 息子と一緒に朝食 |
07:00 | 朝食の片づけ後、シャワー・身支度 |
07:25 | 掃除、洗濯物を干す |
08:00 | 仕事開始 |
朝を助けるアイテム
丈夫なキッチンペーパー
スティッククリーナー
<撮影/古瀬 桂 取材・文/遊馬里江>
渡邊かおり(わたなべ・かおり)
ヨハクの名前で活躍する紙もの作家。色の重なりや透明感を感じさせる美しいデザインのマスキングテープや、味わいのあるスタンプなどが人気。イベントではオープンから行列ができるほど、いまや世界中にファンを有する。https://yohaku.stores.jp/、インスタグラム@____3_1/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです