50代突入。「タンパク質朝ごはん」のおかげで体力が上向きに
9月に入り、急に秋らしい気配が漂い始めましたね。ついこの前までは、朝ごはんの時間にも「暑い!」と冷たい汁かけごはんを食べていましたが、冷たい食べ物や飲み物への興味も急激に薄れてきました。
暑い時期には、冷たい豆乳をかけたごはんが食べやすく、きちんとタンパク質も摂れるのでわたしの夏の定番。だったのですが、涼しくなってきたら豆乳も温めて台湾の食べるスープ、シェントゥジャン(鹹豆漿)風にしたいと思います。
朝ごはんが食べられなかった頃のわたしなら、豆乳ですら重く感じてしまい、夏には“あさりの佃煮や古漬けきゅうり+麦茶”なんてさっぱりした冷たい汁かけごはんにしていたものです。
ですが、タンパク質朝ごはんが身についてきたこの頃では、麦茶よりも豆乳で、という工夫ができるようになってきました。
私がタンパク質朝ごはんに取り組み始めて3年以上。その間に50歳を超えましたが、体力的には40代の頃よりもかなり上向いてきたのではないかしら、と自負しています。
本来ならば、40代からは下り坂。「ぼんやり暮らしていては、昨日と同じ状態の体を維持することはできない」とお医者さんや栄養士さんははっきりといっています。
つまり、1日ごと、もっといえば今のこの瞬間、1秒ごとにも体は退化していくわけです。
退化していくものを少しでもよい状態に保ち、願わくはベターにしていきたいと思ったら、放っておいても元気な若い頃とは違い、体を整えるための努力を日々積み上げていく必要があるそうです。
そこで近道なのが、「タンパク質の朝ごはん」なのです。
元気になるために、体が“マイナスな状態”をつくらない
朝起きたばかりの体はからっぽの状態。そこへの栄養補給が足りないまま活動を始めると体はマイナス状態になってしまい、せっかくの昼ごはんと晩ごはんの栄養がマイナスを埋めてゼロに戻すだけで終わってしまいます。
ゼロに戻すだけでは、退化に負けてしまうのは当然のこと。退化にも負けず、さらに前よりも元気になっていくためには、まずはマイナス状態をつくらないことを意識していきたいと思っています。
でも、よほど食事に気をつけている方でない限り、かつてのわたしと同じように朝には栄養が十分に摂れていない方も多いのでは?
わたしほど弱っていると自覚のない健康な方も、アンチエイジング的な意味合いで、朝ごはんをぜひいちど見直してみてくださいね。
さて、わたし自身のお話に戻しますと。タンパク質朝ごはん生活にも慣れ、朝に20gのタンパク質を摂るためには卵と納豆があればとりあえずは大丈夫、というようなざっくりとした目安も出来上がり、朝の支度もメニューに迷わずにできるようになりました。
ところが。そうしたパターンが定着したとたん、飽きが来たのか、とたんに食べることが負担になってしまったのです!
人間って、ほんとに贅沢なものですね。
そもそも朝ごはんは食べられなかったところから時間をかけてようやく楽しめるようになったのに、数字にとらわれるあまりに「今日も卵と納豆食べなくちゃいけないのか、はあ」とまたしても朝ごはんが苦痛になってしまった時期がありました。
そんなわたしを救ってくれたのが、アジア風の朝ごはん。コロナ禍の自粛が明けて、次々と海外に出かけて行く友人たちが羨ましくなり、せめて家でも……と、いったんタンパク質量のことを忘れてつくってみるうちに、「朝ごはんっておいしい!」と再び楽しめるようになったのです。気分が変わるって大事ですね。
慌ただしい朝に手のかかる料理はしたくありませんが、家にある材料でもほんの少しの目先を変えるだけで一気に旅気分が味わえます。
田内しょうこ(たうち・しょうこ)
「時短料理をサステナブルな知恵に」をモットーに、ゆとりを生みだすための時短の知恵を書籍や雑誌、ウェブサイトで発信。セミナーや出張教室のほか、食と暮らし、子育て関連の情報発信を行う。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』シリーズ(英治出版)、『汁かけごはん』(駒草出版)など。
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