(『天然生活』2022年6月号掲載)
ハーブティーは“心と体”を整えられるお茶
ほぼ毎日ハーブティーを飲んでいるという梅屋香織さん。味や色を想像しながらハーブを選び、でき上がったお茶を眺めながら淹れる間も楽しい時間だといいます。
「今日はこれに、少し酸味も足してみようかな?と気分に合わせて調節できるのがブレンドのいいところ。お湯に浮かぶ様子や、きれいな色を見るのも好きですね」
かつて日本の調剤薬局で薬剤師として働き、薬に触れるなかで、アロマテラピーや植物療法など、薬にはできないセルフケアに興味をもつようになったそう。
「アロマとハーブを学ぶために渡ったフランスで、自己治癒力をじゃませず手軽に取り入れられて、しかも心地よいというハーブの奥深い魅力を知りました」
アロマやハーブの専門的な知識を学んだのちは、フランスの伝統的な薬草店「エルボリストリ」に植物療法士として勤務。
「毎日大勢の人が体調の相談に訪れていました。スタッフは悩みの症状に応じたハーブのブレンドを処方します。そのハーブを煎じて飲むというセルフケアを習慣にしている人が多いですね」
楽しんで味わいながら、日常の健康維持にも
日頃から自身や家族も不調を感じると、ハーブティーやスチームを取り入れ、症状が重くなる前の早めのケアが習慣に。
「疲れを感じたら翌日に持ち越さないためのハーブを使い、息子や夫が風邪をひいたら対策用のブレンドを。日常の健康維持にもハーブは欠かせない存在です」
日本でハーブティーというと、効能よりも「香りがよいノンカフェインのお茶」くらいのライトなイメージをもつ方も多いはず。
「植物の形が見えて、成分がダイレクトに伝わるハーブを選べば、煮出してもティーバッグでも味や色が濃く、体への効果がぐっと感じられます。ハーブティーは、楽しんで味わいながら体も整えられるお茶なんですよ」
昨年フランスから帰国し、個性豊かなハーブがそろうドラッグストアをオープンした梅屋さん。
「『私に合うハーブをください』と、皆さんが気軽に立ち寄れるお店が目標です。専門的な知識がなくても大丈夫。お茶の特徴を意識して、暮らしの中でハーブをより楽しんでもらえるようになったらうれしいですね」
〈撮影/山川修一 取材・文/松永加奈 構成/鈴木麻子〉
梅屋香織(うめや・かおり)
薬剤師、フランス植物療法士。日本の調剤薬局、パリの薬草専門店での勤務を経て、2022年、ハーブ専門のコンセプトドラッグストア「ドラッグストア フィトリート」(東京都渋谷区神宮前4-26-27)を開業。植物療法士の知見を生かし、手軽にできる植物セルフケアを提案。近著に『ハーブではじめる植物療法の手引き』(グラフィック社)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです