(『天然生活』2020年8月号掲載)
始まりは小さな空きびん
結婚して最初の手づくりは空きびんの再利用でした。短い鉛筆、消しゴム、のり、紙はさみを入れて台所に置きたいと思ったのです。大きさがちょうどいいし、すぼまって底が平らな形も好き。
でも、金色のふたが目ざわりでどうにも許せない......。
ひとまわり大きい黒に替えました。ゆるいふたはカポッと乗せるだけなので、ねじるひと手間がありません。台所によく似合いました。
いまでもびんの再利用には、ふたを替えることが多いです。ふたが欲しくてジャムやマスタードを買うこともあります。
ふたまでデザインされた商品は少し高いけれど、再利用したときに素敵です。500mLのメジャーカップにふたをつけたくて、大きさが合うびん入りの塩タブレットを買いました。
注ぎ口に合うようにペンチで鳥のくちばし形に加工します。
小さな庭を家の中に。びんを使って水栽培
庭や鉢植えで育てている木と草花。今年は室内での水栽培も楽しんでいます。
外より早く咲いて長持ちするだけでなく、花が終わったら土に戻せます。茎からの水揚げが悪いアジアンタムなどのシダ類も、根付きで水に挿すと次々と新芽を出して成長します。
水温が25℃を超えないよう置く場所にも注意します。
マーマレードの空きびんは、子どもたちへのプレゼント入れに
ひと月に2びん使い切るお気に入りのマーマレード。空きびんは捨てず、中に姪の子どもたちへの小さなプレゼントを入れて贈っています。
写真は磁石にくっつく海外のコイン。塩と酢でピカピカに磨きます。
磁石は誤って飲み込まないよう、大きいふたに万力を使って押し込めると外れないので安心です。
鍋つかみは、パッと目につく赤い軍手をアレンジ
家の中での置き忘れが多くなりました。一番多いのが生成りの鍋つかみ。
そこで真っ赤な軍手に替えました。定位置はエプロンのポケットの中です。手首のゴムを抜き取れば、締めつけもありません。
洗濯機で洗えて乾きやすいのもうれしい。だんだん薄くなるので1年で交換し、掃除用におろします。
寄付できない古本は濡らして干して油ふきに
読み終えた本は年に一度寄付。寄付に値しない古本は雨ざらしにして乾かすと油の吸収がよくなります。
ばらばらにしてすぐ手に取れるキッチン棚に置き、フライパンの油や皿に残ったソースをふき取ります。
ひと手間ではあるけれど洗剤の使用量が少なくなり、海洋汚染を減らせます。手荒れも治りました。
<撮影・エッセイ/石黒智子 文/嶌 陽子>
石黒智子(いしぐろ・ともこ)
エッセイスト。書籍や雑誌などを通じて暮らしの工夫や道具の選び方を提案。著書に『60代 シンプル・シックな暮らし方』(SBクリエイティブ)。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです