(『天然生活』2021年1月号掲載)
ものは“家に収まる量だけ”にして、ありかを明確に
2020年6月に引っ越したちえさんの新居は、大きなワンルーム。
当初リビングダイニングと寝室スペースとの間に、仕切りの引き戸を入れる予定でしたが、予想外の快適さからそのままに。
シンプルで大きな箱のような空間は、ものの所在地がしっかりと見渡せます。
「以前住んでいた部屋は、面積はいまとほぼ同じですが、収納が多くて。この家に収めるためにはたくさんの本や服を手放しましたが、おかげで持ちものすべてを把握でき、身軽で快適な暮らしになったような気がしています」
さらに片づけや整頓を促す後押しになったのは、2匹の猫の存在。
一緒に暮らすだけで毛は飛ぶし、トイレの世話なども日課に。それまではほうき派でしたが掃除機も導入、もともと好きだった掃除もさらに念入りになりました。
そして「ついで掃除」がしやすい道具選びや配置も、積極的に工夫するようになったといいます。
“ほどほど”の整え方が、機嫌よくいられる秘訣
「当たり前だけど、散らかっているより片づいていたほうが気持ちいいし、ほこりもあるよりないほうが、健やかで機嫌よくいられますよね。機嫌がいいと人にやさしくできるし、『花でも活けようかな』と、余裕も生まれます」
「機嫌よく過ごす」というのは、長谷川家のテーマ。
何ごとも集中すると止まらなくなりがちなちえさんには、「がんばりすぎない」「ほどほどで収める」線引きも、実は重要だとか。
楽する仕組みは、その「ほどほど」のさじ加減を守る役割も担っているようです。
「若いころのほうが『私のやり方はコレ』と、頭でっかちになっていた部分があったかも。けれど人の暮らしの知恵をお手本にしたら、家事が劇的にスムーズになった経験が何度もあって(笑)、いまはいろんな考えを柔軟に取り入れたいと思うように。常に変化しながら、『いまの正解』を見つけていく暮らし方が理想です」
ちえさんの「心の整え方」
塩風呂にゆっくりつかる
毎日の入浴では、浴槽に塩大さじ1、重曹大さじ2を加えるのが習慣に。「食のギャラリー612」で購入した塩を活用。
「疲れたな、体がちょっと冷えたなというときに汗をかきやすくなるし、気分的にも浄化されるような感じがして、すっきりします。ときどきアロマオイルも加え、気分転換を」
庭の手入れと野菜の収穫
引っ越しをしてから庭で畑仕事をするようになったちえさん。夏の間はきゅうりやトマト、大葉など、秋から冬にかけては大根やキャベツ、小松菜などを少しずつ育てています。
「あまり手をかけないほったらかし農法ですが(笑)、採れたてのみずみずしい野菜を口にするだけで元気が出ます」
〈撮影/有賀 傑 取材・文/田中のり子〉
長谷川ちえ(はせがわ・ちえ)
エッセイスト、福島県三春町にある器と生活雑貨の店「in-kyo」店主。夫と猫2匹と一軒家暮らし。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです