(『天然生活』2020年2月号掲載)
基本編:「中深煎りのコーヒー」の淹れ方
酸味が少なく香ばしい香りを楽しむ中深煎り(フルシティロースト)と、カフェオレなどに使う深煎り(フレンチロースト)のコーヒー豆は、円すい形のドリッパーを使います。奥行きのある、深い風味に。
用意するもの(2人分)
● 円すい型のドリッパー | |
● 円すい型のペーパーフィルター | |
● 中深煎りのコーヒー豆 | 32g |
● 湯 | 約350mL |
淹れ方
1 淹れる直前に、中深煎りのコーヒー豆32g(コーヒー用計量スプーンで3杯程度)を中挽きにする。中挽きの目安はグラニュー糖くらいの粒の大きさが、ペーパードリップに適しているといわれる。挽き目がそろっているほうが、おいしく淹れられる。
2 水道水や浄水、ミネラルウォーターをやかんで多めに沸かし、ドリップポットに移す。さらにポットとサーバーを3往復程度させ、湯の温度を88℃くらいまで冷ます。低めの湯温で、ゆっくり、じっくり抽出することで、えぐみや渋みのない味に。あれば温度計を使っても。
3 シール部分を折り返したペーパーフィルターをドリッパーにセットし、全体を軽く湿らせる程度に、湯を回しかける。ペーパー特有のにおいや味を抜くためで、下に落ちた湯は捨てる。なお、捨てる湯を味見してみて、においや味が気にならなければ、この工程は省いていい。
4 サーバーの上にセットしたドリッパーにコーヒーの粉を入れて、軽くゆすって平らにする。粉の中央に、ポットの注ぎ口をできるだけ近づけて、細く静かに、ゆっくりと湯を注いでいく。このとき、コーヒー豆に含まれるガスがぷくぷくと泡になって出てくる。
5 泡が出てきたら(豆の種類や焙煎度合い、鮮度、豆と湯の量のバランスなどによって、出ない場合もある)、泡の外周をなぞりながら徐々に円を広げるように、注いでいく。粉の縁から1cm程度内側まできたら、注ぐのをストップして蒸らす。
6 ぷくぷくと出ていた白い泡が消え、表面がドーム状に膨らみ、粉が湯を吸ってマットな色合いになったら、蒸らし完了。蒸らし時間の目安は32gのコーヒー豆の場合、およそ1分。この時点では、サーバーにはコーヒーは落ちていないか、落ちていてもうっすらとごく少量。
7 本抽出開始。1投目は粉の中心に2〜3cm上から細く、静かにゆっくりと注ぐ。泡が出てきたら外周をなぞるように注ぎ、泡が500円硬貨大になったら注ぐのをやめる。18秒ほどで注ぎ、11秒ほど待つ。泡のまんなかが平らになったら2投目を1投目と同様に行う。
8 7の工程を繰り返す。6投ほどで全抽出を終えるが、3投目以降は徐々に円を大きくしていき、最後は粉の縁から1cmほど内側まで円を大きくして注ぐ。円すい形ドリッパーはドリッパー内に湯がたまりづらく、粉も泡も、最後までドーム状のこんもりとした膨らみが続く。
9 コーヒーがサーバーに330mLたまったら、抽出終了。ドリッパーに湯がたまっていても、かまわずにサーバーから外すこと。作業時間はここまでで4分ほど。後半に急いで注ぐと味が薄くなり、待ち時間をとりすぎると苦味が出る。一定のリズムで注ぐことが大切だ。
番外編:「カフェオレ」の淹れ方
ミルクをたっぷり入れたカフェオレは、おやつのお供やリラックスタイムに最適。
成分無調整の牛乳がおすすめですが、お好みで豆乳でもおいしく淹れられます。
1 カフェオレには濃いめのコーヒーのほうが合うので、細挽きにするか、中挽きで湯の量を半分にして淹れる。コーヒーを入れる手順は上と同じ。中煎りならフルーティーな、中深、深煎りなら、しっかりとした味わいに。
2 牛乳を70℃くらいまで温める。目安は鍋の縁に牛乳の泡がぷつぷつと立つくらい。好みの焙煎度合いで濃いめに淹れたコーヒーと牛乳をカップに注ぐ。コーヒー4に対し、牛乳6の割合がおすすめだが、好きな配分で楽しもう。
〈撮影/元家健吾 取材・文/長谷川未緒〉
堀内隆志(ほりうち・たかし)
1994年に鎌倉にオープンしたカフェブームの先駆け的存在「カフェ ヴィヴモン ディモンシュ」の店主。選び抜いた豆でていねいに淹れるコーヒーのおいしさもさることながら、穏やかな人柄にファンも多い。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです