• 子供たちや地域のよりよい未来のためにお金を使いたいという、群言堂の松場奈緒子さん。心豊かに暮らすための「締めどころ」と「使いどころ」の家計のルールを聞きました。
    (『天然生活』2023年10月号掲載)

    すぐに成果は見えなくても、未来がいい方向に進むように

    島根・石見銀山にある大森町で5人の子育てをしながら暮らす、「石見銀山 群言堂」の松場奈緒子さん。

    『買い物は未来への投票』と母・登美さんがいうように、ちょっと高くてもオーガニックのものを選んだり、地元で買うようにしたりと、すぐに成果は見えなくても、未来がいい方向に進むようにお金を使うように心がけているのだそう。

    物価や光熱費の高騰など、お金に振りまわされず、心豊かに暮らすための「締めどころ」と「使いどころ」の家計のルールを聞きました。

    * * *

    前回のお話はこちら▼

    https://tennenseikatsu.jp/_ct/17724197

    松場奈緒子さんの「心豊かに暮らすための家計のルール」

    ルール01
    子どもたちのお小遣いはお手伝い制を導入

    画像: 洗濯は1日3回以上、子どもたちがクローゼットに戻すお手伝い。自分から動けば20円のお小遣いに。「いずれ自分でやることになるから、習慣になれば」

    洗濯は1日3回以上、子どもたちがクローゼットに戻すお手伝い。自分から動けば20円のお小遣いに。「いずれ自分でやることになるから、習慣になれば」

    月のお小遣いは毎日お手伝いすることを前提に、小学校低学年500円、高学年1,000円、中学生1,500円。「これをベースにして、ありがとうの気持ちでお手伝い1回につき20円を渡します」

    算数の勉強にもなるので子どもたち自身で管理。「10円玉を100円に替えたらお金が減ったと思って、小さいときは泣いたりしていましたね。失敗も勉強だと思うから使い道には口を出さないようにしています」

    画像: お小遣いは子どもたちそれぞれお気に入りの財布に。「電子マネーやネットショッピングよりも実感がもてていいなと思います。両替もすぐに覚えました」

    お小遣いは子どもたちそれぞれお気に入りの財布に。「電子マネーやネットショッピングよりも実感がもてていいなと思います。両替もすぐに覚えました」

    ルール02
    子どもの誕生日には「体験」を贈る

    画像: 末っ子、木子ちゃんの4歳の誕生日写真。「みんなでケーキをつくってお祝いすることもありますね。体験はとてもいいプレゼントだと思っています」

    末っ子、木子ちゃんの4歳の誕生日写真。「みんなでケーキをつくってお祝いすることもありますね。体験はとてもいいプレゼントだと思っています」

    「一年中、家族の誕生日だらけ」という、松場家。旅行やキャンプ、おいしいものを食べるなど、“体験”をプレゼントするのが恒例です。

    「おもちゃはご近所からおさがりをもらうこともあるし、ゲームはiPadでもできるので。どうしても欲しければ、お小遣いをためて買うか、クリスマスに。忙しくて出かけられなかったときなどは、その子にとって新しい体験につながるものを贈ります」

    画像: 長女と次男の誕生月の5月は忙しくて旅行できなかったので、「お年頃になった長女にはバッグ、次男にはフットサルシューズを」

    長女と次男の誕生月の5月は忙しくて旅行できなかったので、「お年頃になった長女にはバッグ、次男にはフットサルシューズを」

    ルール03
    ポイントは効率よくためて、お金の流れを夫婦で見える化

    画像: 銀行の窓口も近くにあるけれど、営業時間中に通帳記入に行くのもなかなか難しい。「ネットバンクは夜間でも確認できて便利です」

    銀行の窓口も近くにあるけれど、営業時間中に通帳記入に行くのもなかなか難しい。「ネットバンクは夜間でも確認できて便利です」

    光熱費や食費といったランニングコストは夫、子どもにかかる費用は奈緒子さんと、使うお金は夫婦の口座で振り分けて家計の流れを明確に。

    「地元銀行のネットバンクを利用しているので家事が落ち着いたときにチェック。仕事上の立て替えなどで夫の口座に不足しているなと思うと私の口座から移動したりして管理しています」

    ポイントはJALカードに一本化して効率よくためて買い物などに活用。

    画像: 小銭用とカードを入れた大きな財布を併用。「クレジットカード決済はすべてJALカードに集約。地元銀行は何かと相談できて助かります」

    小銭用とカードを入れた大きな財布を併用。「クレジットカード決済はすべてJALカードに集約。地元銀行は何かと相談できて助かります」

    ルール04
    「地産地消」を意識して地元で循環させる

    画像: 頂いた旬の食材で保存食をつくり、お返しにおすそわけして循環。頂いた旬の食材で保存食をつくり、お返しにおすそわけして循環

    頂いた旬の食材で保存食をつくり、お返しにおすそわけして循環。頂いた旬の食材で保存食をつくり、お返しにおすそわけして循環

    ご近所さんから庭の梅を頂いて、はじめて梅干しを漬けた松場さん。らっきょうは商店のおばさんからのおすそわけ。

    「山間の町なので、あるものを分かち合うのが暮らしの当たり前になっているんです。お金を使うときも同じ感覚で、できるだけ地元に還元できるように」

    長く使う家具は地元の職人にオーダー。食卓は昔から家にあった天板を生かしたそう。ストーブの薪は地元の間伐材をストック。

    画像: 地元の職人につくってもらった食卓。「食後もくつろげるように低めに」

    地元の職人につくってもらった食卓。「食後もくつろげるように低めに」

    ルール05
    夫婦の買い物はお互い口を出さない

    画像: 「古いものとの出合いは一期一会なので」と、夫・忠さんが好んで買ういくつもの木箱。使い道を考えるのはもっぱら奈緒子さん。収納や整理に使う

    「古いものとの出合いは一期一会なので」と、夫・忠さんが好んで買ういくつもの木箱。使い道を考えるのはもっぱら奈緒子さん。収納や整理に使う

    家具や電化製品など家族で使うものは夫婦で相談して、それぞれの買い物はお互い好きなものを尊重。

    「仕事を辞めて子育てに専念していたときは、なんとなく気兼ねして自分の買い物ができなくてちょっとストレスだったんです。

    気持ちにゆとりがなくなるとやさしくできないから、買い物はお互い自分の裁量で。夫は古い木箱が好きで内心『また買ったんだ!』とも思うけど好きならいいかって」

    ルール06
    地元の寺社へ日々の感謝を包む

    画像: のし袋と文具を箱にまとめ、お年賀や神楽奉納の花代など折々に用意

    のし袋と文具を箱にまとめ、お年賀や神楽奉納の花代など折々に用意

    お盆や正月、祭礼時など地元の寺社にお金を包みます。

    「お盆は菩提寺だけでなく、地元のお寺5カ所ほどがお参りに来られるのでお盆礼をお渡しします。昔からのしきたりで、祖母もそうしていました」

    子どものころは10カ所くらいあったお寺がいまは少なくなったそう。

    「自分が成長して少し余裕ができて地域のことに目が向けられるようになりました。私がやることで次の世代にもつながれば」


    〈撮影/渡邉英守 取材・文/宮下亜紀〉

    松場奈緒子(まつば・なおこ)
    島根県大田市大森町にて、5人の子育て中。「石見銀山 群言堂」創業者・松場大吉、登美の三女。NPO法人石見銀山いくじの会理事を務め、都市部の子育て家族を中心に受け入れる保育園留学®もスタート。Eテレ「子育て まち育て 石見銀山物語」でも暮らしが取り上げられる。https://www.gungendo.co.jp

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    天然生活2024年11月号の特集は「私流、お金をかけない楽しい暮らし」。

    野菜や保存食をつくったり、シェアしたり。

    支え合い、自然とともに営む暮らしからは真の豊かさとは何なのかが伝わってきます。

    俳優の財前直見さん、手づくり暮らし研究家の美濃羽まゆみさん、布作家の早川ユミさんに、周囲とつながりながら支え合う新しい暮らし方を取材しました。

    ぜひご覧いただけましたら幸いです。

    画像: 石見銀山 群言堂・松場奈緒子さんの「心豊かに暮らす」ための家計のルール。子どものお小遣い、夫婦でのお金の管理など

    天然生活 2024年11月号
    https://shop.tennenseikatsu.jp/items/91553830



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