(『天然生活』2023年11月号掲載)
必要なものを必要な分だけ。むだをなくして、健康第一に
「気に入ったものを長く使いたいので、買い物は慎重です。子どものころも、欲しいおもちゃがあっても『本当に必要? これを買ったらおもちゃ箱がいっぱいになるから何かを捨てなくちゃいけないけど、それほど欲しい?』などと、自分に問いかけていました」
そう語るのは、料理研究家の牛尾理恵さんです。ものやお金とのつきあい方には、母親の影響も大きいといいます。
「母が短大生だったころ、修学旅行で香港に行く際、祖父から小遣いを渡され、『一生使えるものを買いなさい』といわれたそうなんです。
そのお金で母は『オメガ』の機械式手巻き腕時計を買い、ずっと大切に使っていました。その話を小学生のころに聞いて、自分も本当に大切にできるものだけを買いたいと思うようになったんです」
若いころから趣味が変わらず、インテリアは20代のころに購入したアンティークの李朝の棚をはじめ、20年、30年と愛用しているものばかり。
10年前から筋トレとランニングの運動習慣が身についてからは、より一層むだ遣いが減ったというのも興味深いところです。
「以前は、自分へのご褒美といって、しょっちゅうおやつを食べていたんです。運動を始めたら気持ちがすっきりして、ご褒美がなくても大丈夫に。汗をたくさんかくからか、肌トラブルもないので美容にもお金がかかりません」
お金があればできることの選択肢が増えるため、むだ遣いはしたくないものの、楽しみには惜しみなく使います。愛犬・ふくちゃんを迎えたのも、お金より大切なものがあると考えたから。
「ピノという先住犬が亡くなって1年がたったころ、犬と暮らす夢を見て。同じタイミングで臨時収入もあり、これは貯蓄ではなく、もう一度犬のいる生活がしたい、迎える準備ができると思いました」
ふくちゃんを迎えてからは、お弁当をつくってピクニックをしたり、犬と泊まれるホテルの予約が取れなかったときには車中泊をしたりと新しい経験もしています。
「社会とつながりながらできるだけ長く働き、食べていくのに困らない程度に収入を得られればな、と。そのためにも食事に気を配り、運動を継続して、健康を維持していきたいと思っています」
牛尾理恵さんのお金の管理
お金の管理は苦手ではないという牛尾さん。
1日の終わりにはお財布をきれいにして小銭貯金を、まとまったお金は放っておいていい貯蓄型生命保険で。具体的な方法を教えてもらいました。
管理01 一日の終わりには、小銭貯金を
外出から帰ってきたらまず、お財布に入っている小銭はすべて貯金箱へ。いつもすっきりしていると所持金が把握できて、お金の管理がしやすく、財布が傷みにくいといいます。
「1円でも999円でも、ぜんぶ貯金箱に入れます。いっぱいになると銀行に持っていくのですが、だいたい2カ月で1万円くらい。思いがけずたまっているし、目に見えるので、やる気も持続します」
管理02 貯蓄型の生命保険を選ぶ
学資保険には上限額があるため、子どもたちの将来を考えて投資信託をスタート。
いまを楽しみながら、将来の不安もない状態が理想と語る牛尾さん。お金は自然とたまっていましたが、移住という夢ができ、計画的な貯蓄をスタート。
「信頼できる人に相談し、ドル建ての積み立てと、いざというとき頼りになる貯蓄型生命保険に加入。投資は勉強していないため、まだ手を出していません。円安が続いているのでドル建ての積み立てのほうをどうしようか、と考え中です」
〈撮影/渡邉英守 取材・文/宮下亜紀〉
牛尾理恵(うしお・りえ)
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター。短大卒業後、栄養士として病院での食事指導を担当。その後、料理家の助手、料理専門の制作会社勤務を経て独立。忙しい人でもつくりやすくて体にやさしい家庭料理に定評がある。雑誌、テレビ等、各媒体で活躍。著書に『がんばらない3日間献立』(ワン・パブリッシング)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
天然生活2024年11月号の特集は「私流、お金をかけない楽しい暮らし」。
野菜や保存食をつくったり、シェアしたり。
支え合い、自然とともに営む暮らしからは真の豊かさとは何なのかが伝わってきます。
俳優の財前直見さん、手づくり暮らし研究家の美濃羽まゆみさん、布作家の早川ユミさんに、周囲とつながりながら支え合う新しい暮らし方を取材しました。
ぜひご覧いただけましたら幸いです。
天然生活 2024年11月号
https://shop.tennenseikatsu.jp/items/91553830