(『天然生活』2023年11月号掲載)
究極的にものを減らした暮らし
以前、「私らしく、歳を重ねる」のテーマで取材した祐成陽子さん。赤い眼鏡がトレードマーク、フードコーディネーター養成学校の校長先生。
84歳のいまも、現役バリバリ、アクティブに活動しています。取材当時、「もうすぐ自宅で、糀をテーマにしたカフェを始めるのよ」と愉快そうに話していましたが、あれから約2年、暮らしはどう変化したでしょう?
夫の転勤が多かったこともあり、人生で20回近くの引っ越しを経験してきたという祐成さん。そのたびに持ち物や暮らしの見直しをしてきて、3畳の部屋に収まるほどのコンパクトさに到達しました。
昔からいっぱい持つのは嫌い。手放してから「あれがあったらよかったな」ということもあるけれど、なければないで頭を使って工夫するのだといいます。
「ずいぶんと小さい部屋だけど、なんでも手の届く範囲にあり、掃除も、ものの管理もすごくラク!」と声を弾ませる祐成さん。
究極的にものを減らした暮らしは、思った以上に身軽で、明快なのです。
これだけ小さくなりました!
祐成陽子さんの、小さくした暮らし
1 ワードローブは超ミニマムに
引っ越しを繰り返し、歳を重ねるなかで洋服を減らしてきました。
いまは春から夏は白いシャツ、冬は赤のニットと決め、ユニフォームのように着ています。
シャツは普段用と、お出かけ用の数枚のみ。その分、頭に巻くターバンとアクセサリーをいろいろ替えて、アレンジを楽しんでいます。
「どちらも場所をとらないので、これだけはたくさん持っています」
2 靴はたったの3足
靴もなんと3足のみ。
「夏はサンダル、冬はブーツなど、いろいろと持っていましたが、私の人生にそんなにはいらないと思って。サンダルは足から冷えるし、ブーツは疲れるし、靴はスニーカーだけにしました」
サンフランシスコ発のサステナブルなブランド「オールバーズ」でそろえた。
「とにかく軽くて歩きやすいのです」
3 家賃は0円、固定費も縮小
現在の一軒家は持ち家。賃貸マンションから引っ越して、家賃は0円になりました。
娘との同居で、食費や電気代・ガス代などもミニマムに。
「調味料なども、それぞれの家で使うより、一個にまとまって経済的」と娘の二葉さん。器もぐっと減らして、引っ越しで持ってきたものは、写真の木のお椀ぐらいだといいます
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<撮影/近藤沙菜 取材・文/鈴木麻子>
祐成陽子(すけなり・ようこ)
東京・四谷にあるフードコーディネーター養成スクール「祐成陽子クッキングアートセミナー」校長。現在は、マンツーマンのレッスンのみ開校。元自宅の古民家で娘の祐成二葉さんを中心に「糀カフェ2539」を開いている(インスタグラム@kojicafe2539)。カーブキッチンバサミなど、キッチンツールの開発も。https://www.sukenari.co.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです