• 「悩みがあるなら陽子先生に相談だ」。そう思わせてくれる頼りになる存在。人生経験豊富で、とにかく愉快に生きている祐成陽子さんに、大笑いで歳を重ねるための人生訓を聞きました。
    (『天然生活』2021年12月号掲載)

    心の迷いにそっと寄り添う元気印・陽子ばあば

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    「隠すところなんて一切ないから、どうぞ好きに撮って、なんでも聞いて! 」ときっぷよくいったその人は、生き生きとハッピーなオーラを放っていました。

    祐成陽子さんは御年84歳で、フードコーディネーターの養成学校を束ねる校長先生です。赤い眼鏡に、赤い服、耳には大きなピアスがトレードマーク。

    若い友達と話すのが大好きで、口癖は「あなた古いわね〜」。フードコーディネーターのパイオニアとして、だれよりも先に行き、どんどんと新しいこと・楽しいことを提案していきたいと、走りつづけています。明るく、前向きに生きる心得はいくつもあり、日々、たくさんの人から相談が舞い込むのだとか。

    陽子ばあばの人生メモ

    84歳のいまも現役で、バリバリ仕事をこなす自らを「ばあばのOL」と称す陽子さん。学校を巣立った生徒からも慕われつづけ、いろいろな人の心の迷いにそっと寄り添う元気印・陽子ばあばの人生訓をご紹介します。

    画像: 「料理は引退」といいつつ、ピカピカに磨かれ、道具の整った台所からは、料理を楽しむ姿が透けて見える

    「料理は引退」といいつつ、ピカピカに磨かれ、道具の整った台所からは、料理を楽しむ姿が透けて見える

    友情は永遠ではありません

    若いころはお互いに気が合って大好きでいた友達も、その後に就いた仕事の内容とか、家庭の環境とか、それぞれ違ってくるでしょう。

    歳を重ねて、ライフステージの移行とともに、感覚も価値観も変化して、ずれが出てくるのは自然なこと。だから、友達が変わっていっても悩む必要はなし。あと必要ないといえば、「ママ友」も。

    私自身、ひとりもいなかった。子ども同士の仲がいいからって、合わない人たちとつるむことはありません。いま84歳ですけど、同年代の方たちは、出かけたり新しいことを始めるのをおっくうに感じる人が多い。

    でも私はそれじゃつまらないから、もっぱら遊ぶのは若い人たちよ。新しいことを教えてくれ、いい刺激になっています。

    アイデアももうけもどんどん手放す

    何かいいことを思いついたら、ビジネスが調子よくてもうかったら、それをひとりで抱え込んではだめですよ。みんなでどんどん分け合うこと、これは商売をするうえでとても大切。

    レシピでもテクニックでも、私はどんどん公開しちゃう。ため込まないで手放すと、次をまた考えなくてはいけないから、新しいアイデアも生まれるというもの。独占していると、それを盗んだ人が安く広めたりしてよくない結果を招いたり、人に対してケチをしていると、人は逃げていってしまう。

    逆に気前よくしていると、思わぬときに返ってきたりする。アイデアももうけも出し惜しみしない。そうすると、よい流れができてきて、結局は自分のためになると思います。

    反射神経はいつも磨いておく

    「機を逃さない」のはとても大事です。思い立ったらすぐ実行。「あとにしよう」って寝かせてしまうと、「まあ、しなくてもいいか」って思ってしまうんですよ。勢いでやって「あんなことしなきゃよかった」ってことも多々あります。

    でもね、やらなかったことであとからがっかりするのはもっと嫌だから。いつも、さまざまなことにアンテナをめぐらせて、反射神経は磨いておきます。話をふられたときに機転の利いた返事ができるか? 判断を迫られたときに、すぐにジャッジできるか?

    これらは生きていくうえで大切な反射神経です。反射神経を磨いて、みんなよりちょっと先を行く。じゃないと、フードコーディネーターの学校の校長なんて務まらないもの。

    画像: 築70年以上という古家をこざっぱり整え、夫婦でふたり暮らし

    築70年以上という古家をこざっぱり整え、夫婦でふたり暮らし

    いくつになっても自分を更新

    いま週に1回、スマートフォンの使い方を習っているんです。もっと便利な使い方やコツがあると思って。

    あと、学校の生徒さんに占いができる人がいて、占いも教わっています。料理の世界で、私は大御所扱いされる歳と経験を経てきたけれど、そこに落ち着いてはダメ。常に、新しい情報やネタを提供できるよう、自分を更新していかないと。それは、仕事をしていなくても同じだと思います。若い人たちになめられないようにしないとね。

    私の口癖は、「あなた、古いわね〜」だけど、「古い」っていわれるのではなく、いう立場でいたい。そういう気持ちで、面白いこと、新しいことをどんどん自分のなかに入れて、学びの姿勢をもつようにしています。

    落ち込んだときはとにかく歩く

    なんだか元気が出ないっていうことあるでしょう? 元気そうに見える私だって、ドーンと落ち込むこともあるんです。でも、暗く落ち込んでいるばかりだったら、幸せも逃げてしまいます。

    停滞気味なときは、スパッと気持ちを変えるためにウォーキングに出ます。外を歩いていると、いろいろな人とすれ違う。楽しそうな人、怒っている人、元気な子ども……。「あの人たちにもいろいろあるのかな」なんて想像しながら歩いていると、だんだんとすっきりしてくる。

    それで、おいしいものを買って帰ってきて、家で食べると、かなり回復。歩くと足腰も強くなるから一石二鳥です。一度しかない人生、悩んでばかりいたら、時間がもったいないですよ。



    〈撮影/近藤沙菜 取材/鈴木麻子〉

    祐成陽子(すけなり・ようこ) 
    フードコーディネーター。「祐成陽子クッキングアートセミナー」校長。
    インスタグラム:@sukenariyoko
    https://www.sukenari.co.jp/

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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