めまいを改善・予防するための「生活習慣」は?
睡眠を十分にとろう
日常生活でめまいが悪化する一番の原因は、睡眠不足です。
内耳は、髪の毛1本ほどの細い血管によって栄養が届けられています。疲労の蓄積や睡眠不足で、血のめぐりを悪化させてしまうと、内耳に影響を及ぼします。
自身でめまいを予防する最も有効な方法は、しっかりと睡眠をとることです。また、ストレスもめまいの原因のひとつなので、ストレスが多いときには、自分なりの解消法を見つけることも重要です。
良性発作性頭位めまい症でめまいが起こっている方の場合、耳石が剥がれて三半規管に入りやすくなっているため、枕を高くする・上半身を高くして就寝するのも予防法のひとつです。
お風呂に入るとき“熱いお湯”、“長風呂”を避けよう
お風呂は濡れた床で足元が滑りやすいことに加え、顔や髪を洗う下向き動作がめまい・ふらつきを誘発しやすく、お風呂に入るのがこわいという人も多いでしょう。お風呂での不安を少なくするには、お風呂の入りかたにも気をつけましょう。
熱いお湯に浸からないようにし、長風呂も避けましょう。また、立ち上がるときなど、どんな動作も「ゆっくり動く」ことがポイントです。
浴室に手すりをつける、滑り止めのついたバスマットを敷く、浴室や洗面所には、ふらついたときにすぐ座れるようにイスを用意するなど、工夫をしましょう。
気圧の変化に注意しよう
低気圧や台風が来たとき、エレベーター内や、新幹線で移動しているとき、飛行機の離発着時といった場面では、普段とは異なり、急激に気圧が変化します。
気圧が変化すると、内耳にある「気圧センサー」が敏感に反応し、耳が詰まった感じがします。これによって、めまいが生じやすくなるので、気圧の変化には注意しましょう。
対策として、耳抜き(ツバや水を飲み込む、水分をとるなど)をしたり、十分な睡眠で体調を整えたりしましょう。
また、天気予報などで気圧の変化が予測できるときは、遠方への外出や車の運転は避けるようにしましょう。
めまいが起きたら、暗い場所で横向きに寝よう
家でも外出先でも、めまいが起きたときは、「とにかく安静」が基本です。まず、安静になれる場所に移動しましょう。
転倒しないように注意しながら、座れる場所や横になれる場所を探します。家なら暗くて静かな場所、外出先なら日陰を選び、30分くらい安静にします。
できるだけゆっくりと深い呼吸をしましょう。無理やり息をしようとして過呼吸にならないように注意しながら、楽な姿勢で呼吸を整えます。
横になる場合は、衣服をゆるめて、顔を横に向けて寝るのがポイントです。上を向いていると、突然、嘔吐したときに吐いたものが気管に入ってしまいます。
不調があるほうの耳が上側になるような姿勢をとります。どちらの耳が悪いのかわからない場合は、両方試して、楽なほうを下にしましょう。
処方されている吐き気止めなどの薬がある場合は服用しましょう。常備薬がない場合には、市販の乗り物酔い止めの薬でもOKです。
30分経っても治らない場合は、救急車を呼ぶことを躊躇しないでください。
※ 本記事は『10秒でめまい改善体操』(扶桑社ムック)からの抜粋です。
* * *
9割のめまいは自分で治せる!
25万人のめまい患者を改善に導いてきた新井基洋医師監修の”たった10秒”でみるみる効く!
誰でもかんたんにできる10秒めまい改善体操で、薬に頼らずめまい・ふらつきを克服しよう。
第1章 めまい・ふらつきの原因を知ろう
第2章 これだけはやってみよう!10秒めまい改善体操
第3章 より実生活に効く!10秒めまい改善体操 応用編
第4章 めまいを改善・予防する生活習慣
<監修/新井基洋 イラスト/早瀬あやき>
新井基洋(あらい・もとひろ)
1964年生まれ。横浜市立みなと赤十字病院 めまい・平衡神経科部長。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本めまい平衡医医学会専門会員・代議員。北里大学医学部卒業後、国立相模原病院、北里大学耳鼻咽喉科を経て現職。『全国から患者が集まる耳鼻科医のめまい・ふらつきの治し方』(毎日が発見)など著書多数。Best Doctor in Japanに3期連続選出。