(『天然生活』2021年12月号掲載)
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
安曇野での13回目の冬。いまでは冬ごもりの達人に
東京のマンション生活から、北アルプスの景色をのぞむ小さな平屋に移り住み、今年で13回目の冬を迎える德田民子さん。
「最初の年、引っ越してきたのが11月で、あまりの寒さにダウンを着て寝たほどです。これは大変だなと思いましたよ」
いまでは笑いとばせるほどに、すっかり冬ごもりの達人に。リビングで過ごす時間が長くなるから、德田さんの冬じたくは空間を居心地よくすることから始まります。
リビングにかけるのれんなどを手づくりし、冬モードに模様替えをして気分転換。
また、ふだんは屋根裏部屋にしまってあるオットマンをリビングに運び、薪ストーブの前に特等席をつくります。
手づくりを楽しみながら、やがて来る春を想う
夏の間は朝5時に目が覚めるそうですが、冬はお日さまに合わせて7時ごろの起床です。夏場のように庭仕事に追われない分、秋から冬にかけては家仕事がはかどるのだといいます。
夏に収穫したミニかぼちゃは、お友だちに送ってもまだ手元に残るので、時間にゆとりのあるこの時季にペーストにしてデザート用にストック。摘み取って冷凍しておいたブルーベリーでジャムを煮ることも。
「こちらに住んでから、白菜を漬けるようになりました。ご近所からたくさん白菜のお裾分けをいただくので、やってみたんですよ」
毎日が同じだとつまらない、新しいことが好きという德田さんにとって、自然に寄り添ういまの暮らしはワクワクに満ちています。冬の寒さにおののきながらも、庭に降り積もる雪景色の静かな美しさにはハッとしたそうです。
「安曇野はそう雪深くはないため、クリスマスごろから1月にかけて少しだけ雪が降るんです。家の中でコーヒーを飲みながら、窓の外の白い世界をいつまでも眺めていたくなります」
めぐる季節の中での発見を楽しむと同時に、「ずっと変わらずに好きなこと」にひたる時間がもてることも、宝物のように感じています。
冬の夜長に、ソファでブランケットにくるまりながら大好きなビートルズのレコードを聴いたり、お気に入りなのに着られなくなった服をリメイクしたり。
「春になったらこれを着よう」と思いながら手を動かすのは、とても豊かなひとときです。
德田さんの冬じたくのスケジュール
〈10月〉
・座布団カバーを冬用に替える
・来年のスケジュール帳を購入
〈11月〉
・かぼちゃペーストやあんこを常備
・白菜漬けをつくる
・年末の掃除を少しずつ始める
〈12月〉
・薪ストーブを使い始める
・厚手の靴下を履く
・雪用のブーツが活躍
・おせちの準備を始める
〈撮影/有賀 傑 取材・文/石川理恵〉
德田民子(とくだ・たみこ)
『装苑』などの編集長を務め、定年後は、夫婦で長野県安曇野市へ移住。著書に『安曇野便りの心地いい家仕事』(主婦の友社)がある。