(『天然生活』2023年2月号掲載)
ごはんをつくる自分が、一番頼りになる主治医
「医食同源」の言葉通り、頭痛は日頃の食生活からもやわらげることができると來村先生はいいます。
「女性は貧血や冷え性の人が多いので、血液をつくり、体を温める食材を意識して摂るといいですよ。貧血が解消されて血のめぐりがよくなると、体調全般が整い、頭痛も改善に向かいます」
逆に避けたいのは、頭痛を誘発する物質を含むチーズやチョコレートなど。体を冷やす野菜や果物、甘いものやカフェインも摂りすぎないように注意が必要です。
「昔の中国では、王の食事をつくる『食医』が最高位だったんです。食が健康の要だから、ごはんをつくる人が一番偉い。それはいまも同じで、ごはんをつくる自分が一番頼りになる主治医です。食事も睡眠も運動も、だれかに代わってもらえないこと。まず自分が生活を変えて自分で治す。その意識を忘れないでくださいね」
頭痛改善で取り入れたい9つの食材
頭痛の症状をやわらげるために食べたい、9つの食材を紹介します。
どれも体を温めたり、血のめぐりをよくしたりする働きがあるのが特徴。日々の食事に取り入れてみましょう。
シナモン
漢方の桂皮と同様の成分を持ち、血のめぐりをよくして体を温める。体内の炎症を抑える抗酸化作用も強い。
しょうが
多くの漢方薬に含まれ、健胃、発汗、新陳代謝促進に効果が。加熱すると体を温めるパワーが高まる。
なつめ
鉄分や食物繊維が豊富。貧血を防ぎ、腸内環境を整える。実を乾燥させたものが生薬の「大棗(たいそう)」。
葛
イソフラボンやサポニンが多く含まれ、更年期症状や血流、便通の改善を促す。葛湯は風邪のひき始めにも。
納豆
頭痛によいマグネシウムとビタミンB2を含み、イソフラボンの働きで女性ホルモンも安定しやすい。
豆腐
イソフラボンやサポニンのほか、便通を整えるオリゴ糖、脳の働きを活性化するカルシウムなどが含まれる。
アーモンド
頭痛予防にもなるビタミンB2や血管の緊張をやわらげて頭痛を改善するマグネシウムが豊富。
レバー
鉄分やミネラル、ビタミンB群が貧血予防や疲労回復によく、ビタミンAが目の健康を保ってくれる。
ほうれんそう
マグネシウムとビタミンB2、鉄分の吸収率を高めるビタミンCなどが豊富。血圧を抑える効果も。
頭痛改善で控えたい5つの食材
反対に、頭痛の症状を改善するために控えたい、5つの食材を紹介します。
体を冷やしたり、頭痛の原因になる成分を含んでいたりするのが特徴。日々の食事で参考にしてみましょう。
チーズ
交感神経を刺激する物質チラミンにより頭痛が誘発されることも。チラミンは熟成チーズに多く含まれる。
チョコレート
チラミンが含まれるほか、カカオ豆のテオブロミンや加工油脂が頭痛や吐き気を引き起こすこともある。
赤ワイン
チラミンのほか、酸化防止剤として使われる亜硝酸塩も頭痛の原因に。アルコール全般を控えるのが無難。
生野菜
体を冷やす生野菜、とくに冷やす作用の強いきゅうりは避けたい。温野菜や根菜類を積極的にとるとよい。
トロピカルフルーツ
バナナやマンゴーなど南国の果物は体を冷やす作用が強い。寒い地域で育ったりんごは体を温めるとされる。
〈イラスト/はまだなぎさ 取材・文/熊坂麻美〉
來村昌紀(らいむら・まさき)
頭痛専門の脳外科医として大学病院に勤務しながら漢方専門医の資格を取得。2014年、千葉県に、「らいむらクリニック」を開設。著書に『頭痛専門医・漢方専門医の脳外科医が書いた頭痛の本』『漢方専門医の脳外科医が書いた漢方の本・入門編』(ともにあかし出版)など。YouTubeチャンネル『らいむらクリニック チャンネル』でも、頭痛や漢方のお話を解説。
YouTube:らいむらクリニック チャンネル
インスタグラム:@raimura.clinic
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです