• 服飾作家の美濃羽まゆみさんは「服を選ぶことは、自分の人生を選ぶこと」といいます。それはふたりの子どもたちが教えてくれたこと。学校に通うことをやめ、自分らしく生きる道に進んだことで、ふたりの心や服装はどのように変化していったのでしょうか? 美濃羽さんにお話を伺いました。

    鎧を脱いで、「好き」をまとって

    現在は友人と電車で出かけたり、学校外の活動に精を出したり、そしてなんとアルバイトまではじめ、眠り姫だったころとは別人のようなゴン。

    天気がくずれると調子が悪かったり、温度変化にも弱かったりもしますが、以前より自分の体調とうまく付き合えるようになってきたなあ、と胸をなでおろしています。

    そんな彼女のファッションを思い返してみると、内面の変化を映すかのような変遷がはっきりと見られます。

    ODの症状が出始めた小学校高学年から中学生のころは全身真っ黒。

    のちに話してくれましたが、眠気が出てしんどいのに、そのことを同級生から非難されることがあり、とてもつらい思いをしたのだそう。

    そのため、どのトップスにもフードがついていて、深々とそれをかぶって隠れるように学校に通っていましたっけ。横目で見ながら、“まるで鎧みたいやなあ”と思ったものです。

    それが高校生になり、体調が回復するのと比例するように大変身!

    彼女には中学生になってから、ワンシーズン決まった額の被服費を渡してやりくりしてもらっているのですが、体調が安定してくるにつれ、そのラインナップがどんどんとカラフルになっていきました。

    たとえば、水色のセーラーカラーのワンピース、リボンが編み上げられたターコイズブルーのドレス、フリルたっぷりのブラウスやスカート……。

    胸元の大きなリボンを結び、鏡の前で満足気な表情を浮かべるゴンの決めポーズも、いまでは見慣れた光景です。

    彼女いわく、バイト先で嫌なことがあっても「私は今日もかわいいから、無敵」って思えるんだそう!

    画像: ゴンの一番のお気に入りは、フリルたっぷりのパフスリーブブラウスに羽のついたネクタイ、ベリーピンクのプリーツスカート。さらにピンクのカーディガンを羽織って、キュートさ盛り盛り。めっちゃ似合ってるで~

    ゴンの一番のお気に入りは、フリルたっぷりのパフスリーブブラウスに羽のついたネクタイ、ベリーピンクのプリーツスカート。さらにピンクのカーディガンを羽織って、キュートさ盛り盛り。めっちゃ似合ってるで~



    〈写真・イラスト・文/美濃羽まゆみ 構成/山形恭子〉

    画像: 私らしく装い、私らしく生きる

    美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
    服飾作家・手づくり暮らし研究家。京町家で夫、長女ゴン(2007年生まれ)、長男まめぴー(2013年生まれ)、猫2匹と暮らす。細身で肌が敏感な長女に合う服が見つからず、子ども服をつくりはじめたことが服飾作家としてのスタートに。

    現在は洋服制作のほか、メディアへの出演、洋裁学校の講師、ブログやYouTubeでの発信、子どもたちの居場所「くらら庵」の運営参加など、多方面で活躍。著書に『「めんどう」を楽しむ衣食住のレシピノート』(主婦と生活社)amazonで見る 、『FU-KO basics. 感じのいい、大人服』(日本ヴォーグ社)amazonで見る など。

    ブログ:https://fukohm.exblog.jp/
    インスタグラム:@minowa_mayumi
    voicy:FU-KOなまいにちラジオ

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