(『天然生活』2022年11月号掲載)
心の不調、ちょっとしたストレスにも「漢方薬」が有効
ストレスが発散できなくて気が体に停滞してしまうと(気滞)、イライラしたり落ち込んだりします。また、気が足りなくなったり(気虚-ききょ)、血液が足りなくなると(血虚-けっきょ)、心身が消耗し、不安や焦燥感などで落ち着かなくなることも。
よいこともそうでないことも日常にはつきものですが、よく眠れない、食欲が乱れる、やる気が出ない、物事を考えすぎてしまう、過度に緊張してしまうなど、ちょっとしたストレスにも漢方薬が有効です。
暮らしのなかでは、友達としゃべる、歌を歌う、大声を出す、おならをするなどの行為は、たまった気が抜けて楽になります。深呼吸などをして、とにかくガス交換することです。
漢方の力を借りて心を軽くしましょう
「心の不調」の処方
処方①
帰脾湯(きひとう)
気と血を補い、胃腸の働きをよくしてエネルギーをアップさせる処方に、心身を安定させる生薬が配合されている。不眠のとき、精神不安定なときに。
処方②
逍遥散(しょうようさん)
「逍遥」とは伸び伸びぶらぶら気ままに歩くという意味。ノイローゼ、不眠症、冷え、鬱などに処方され、婦人科の症状にも。
処方③
敬震丹(けいしんたん)
気を回らせる働きが。麝香(じゃこう)、牛黄(ごおう)などの動物生薬とサフラン、人参、沈香(じんこう)、丁子(ちょうじ)などの植物生薬と、香りの強い生薬が14種配合。お香のような漢方薬。
こんな症状には
眠れない
疲れていても眠れないのは気の不足。緊張して眠れないのは、気が頭に上っている状態。
⇒処方:①/②/③
動悸や緊張
胆嚢(たんのう)の気がめぐらず、働きが弱っていることが多い。心を落ち着かせることも大事。
⇒処方:①/③
イライラ
上に昇った気を下に降ろし、正常にめぐらせるためには、熱を冷まし、気を発散させて。
⇒処方:①/②/③
落ち込み
焦燥感や不安感でいっぱいの状態。気をめぐらせて、頭と心をリフレッシュしよう。
⇒処方:①/②/③
ショックな出来事
気が乱れ、消耗し、精神を安定させられないことが原因。安心できる環境に整えて。
⇒処方:①/③
〈撮影/近藤沙菜 イラスト/須山奈津希 構成・文/鈴木麻子〉
杉本薬局(すぎもとやっきょく)
1950年の創業以来、一人ひとりの体質に合った漢方薬や自然薬を提案。三代目の杉本格朗さんと弟の哲朗さんらと家族で経営。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです