(『天然生活』2020年11月号掲載)
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
ハーブも暮らしの道具も何でも“つくってみる”
「夫のほうが器用なので、いつもいろいろとお願いしています。このあいだも娘の保育園の帽子のひもを交換してもらいました」
と話すのは、川合留里さんです。チェンマイや奄美大島で薬草の使い方や栽培、アロマについて学んだ後、蓼科ハーバルノートに勤務。
木工作家の川合優さんとの結婚を機に、アトリエがある岐阜県に、3年前に移住しました。
![画像: 山椒味噌に用いる山椒の実の果皮をむくおふたり。「家族総出で、黙々とつくるんですよ」(優さん)](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/11/05/fdda9a9972ee2c69177c7027c235309fe24f204b.jpg)
山椒味噌に用いる山椒の実の果皮をむくおふたり。「家族総出で、黙々とつくるんですよ」(優さん)
![画像: 山椒味噌をつくるのは、お盆ごろ。赤味噌に砂糖と酒、生の山椒の果皮をそれぞれ適量加え、よくすりつぶせば、でき上がる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/11/05/49af357343f7eee3b6c40e9926b75e27984e32d0.jpg)
山椒味噌をつくるのは、お盆ごろ。赤味噌に砂糖と酒、生の山椒の果皮をそれぞれ適量加え、よくすりつぶせば、でき上がる
そんな留里さんの手仕事の中心はやはりハーブやアロマ、スパイスなどです。
「小さなオアシス」と呼ぶベランダでは、常時、数種類のハーブを育てていて、料理やお茶などに使っています。
「ハーブは効能を調べて必要なものを育てるのもいいと思いますが、地域や環境によって、よく育つものが違います。なので、好きな香りで選ぶのも、おすすめですね。調子をくずしてしまったときなど、ハーブをなでて手に移った香りを嗅ぐだけで、健やかさを取り戻せると思います」(留里さん)
![画像: スパイスは留里さんの必需品。抗菌作用があるといわれるシナモンとクローブを粉末状にしてミルクティーに入れたスパイスティーは、体がぽかぽかと温まる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/11/05/08be482019b20af79af17f6a4a3eac34244a6e78.jpg)
スパイスは留里さんの必需品。抗菌作用があるといわれるシナモンとクローブを粉末状にしてミルクティーに入れたスパイスティーは、体がぽかぽかと温まる
![画像: 20mLの容器に7分目まで無水エタノールを入れ、精油(レモン2滴、ティートゥリー4滴)、精製水を加えたマスク用スプレー](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/11/05/5d730421069cfc5d640e11edde1c8697eb5afb79.jpg)
20mLの容器に7分目まで無水エタノールを入れ、精油(レモン2滴、ティートゥリー4滴)、精製水を加えたマスク用スプレー
一方、優さんの手づくりは、木工作家ならではの本格的な物から、ワイングラスホルダーや物干し台など、だれでもまねできそうなものまで、多岐にわたります。
留里さんが出産のために入院して帰宅したら、台所にフライパンを下げるフックが付いていたり、やかんの持ち手にいぐさが巻いてあったりと、便利な工夫がなされていて驚いたのだとも。
「不便だなと感じたことに、ふと解決策を思いついたら、試しにつくってみるんです」(優さん)
![画像: 長年愛用している銅のやかん。火にかけると持ち手が熱くなるため、優さんがロープ状のいぐさを巻いた。いちいち鍋つかみを使うより、手軽に湯を注げる](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/11/05/3b77d51a4d1c8e0305781c0b9df8a17ab9f02a3c.jpg)
長年愛用している銅のやかん。火にかけると持ち手が熱くなるため、優さんがロープ状のいぐさを巻いた。いちいち鍋つかみを使うより、手軽に湯を注げる
アトリエに近い優さんのご実家は兼業農家で、子どものころから手づくりが身近にあったことも、今の暮らしにつながっています。
「お茶摘みや餅つきなどが習慣として暮らしに根づいているのは、すごく豊かなことだと思うんです。続けてきたからこそ残っているので、これからもつくりつづけていきたいですね」(留里さん)
![画像: 優さんの実家でつくっているお餅に、さわやかな香りの山椒味噌をのせて。お米の甘味をしっかり感じるお餅のおいしさは、手づくりならでは](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2024/11/05/1572e953abc27dd187a1d2d21f7b0a495097b14c.jpg)
優さんの実家でつくっているお餅に、さわやかな香りの山椒味噌をのせて。お米の甘味をしっかり感じるお餅のおいしさは、手づくりならでは
〈撮影/千葉亜津子 取材・文/長谷川未緒〉
川合 優・留里(かわいまさる・るり)
留里さんはハーブを使ったワークショップ(育休中)、優さんは日本の森林をよい状態に保つ物づくりをテーマに活動している。http://kawai-masaru.com/