(『天然生活』2020年11月号掲載)
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
ハーブも暮らしの道具も何でも“つくってみる”
「夫のほうが器用なので、いつもいろいろとお願いしています。このあいだも娘の保育園の帽子のひもを交換してもらいました」
と話すのは、川合留里さんです。チェンマイや奄美大島で薬草の使い方や栽培、アロマについて学んだ後、蓼科ハーバルノートに勤務。
木工作家の川合優さんとの結婚を機に、アトリエがある岐阜県に、3年前に移住しました。
そんな留里さんの手仕事の中心はやはりハーブやアロマ、スパイスなどです。
「小さなオアシス」と呼ぶベランダでは、常時、数種類のハーブを育てていて、料理やお茶などに使っています。
「ハーブは効能を調べて必要なものを育てるのもいいと思いますが、地域や環境によって、よく育つものが違います。なので、好きな香りで選ぶのも、おすすめですね。調子をくずしてしまったときなど、ハーブをなでて手に移った香りを嗅ぐだけで、健やかさを取り戻せると思います」(留里さん)
一方、優さんの手づくりは、木工作家ならではの本格的な物から、ワイングラスホルダーや物干し台など、だれでもまねできそうなものまで、多岐にわたります。
留里さんが出産のために入院して帰宅したら、台所にフライパンを下げるフックが付いていたり、やかんの持ち手にいぐさが巻いてあったりと、便利な工夫がなされていて驚いたのだとも。
「不便だなと感じたことに、ふと解決策を思いついたら、試しにつくってみるんです」(優さん)
アトリエに近い優さんのご実家は兼業農家で、子どものころから手づくりが身近にあったことも、今の暮らしにつながっています。
「お茶摘みや餅つきなどが習慣として暮らしに根づいているのは、すごく豊かなことだと思うんです。続けてきたからこそ残っているので、これからもつくりつづけていきたいですね」(留里さん)
〈撮影/千葉亜津子 取材・文/長谷川未緒〉
川合 優・留里(かわいまさる・るり)
留里さんはハーブを使ったワークショップ(育休中)、優さんは日本の森林をよい状態に保つ物づくりをテーマに活動している。http://kawai-masaru.com/