• 「ものは出したら元の場所へ」を繰り返し、「小片づけ」を習慣づけると暮らしは整います。整理収納アドバイザー、井田典子さんが実践する、代謝よく適量で暮らすための片づけの極意を紹介します。
    (『天然生活』2024年1月号掲載)

    メモにしてやるべきことを「見える化」

    「『ほぐす』といってもなかなかキッカケがない」という方に井田さんがすすめるのは、玄関やリビングなど、気になる場所をスマートフォンで撮影してみること。

    「いったん写真になると、全体を客観的に見ることができます。肉眼だと、自分にとって都合のいいところしか視界に入らなかったりするものですから」

    「客観視」といえば、取材中もうひとつよい習慣を聞きました。それは、もやもやと頭が混乱していたら、問題点や課題をメモに書き出してみるということ。

    「人をストレスに陥れているもののひとつが『混在』だと思っていて。あれをしなきゃ、これも心配といろいろな思考が頭の中に混在していることで、不安が助長されてはいませんか? そういうことをメモに書き出し、『おろす』ことで、案外すっきりするのだそう。

    「これから年末年始で、やらなくてはいけないことがたくさんあると思います。そういうことも、すべて書き出してみると、頭の中から引き離せて、頭にも心にも余裕ができるはず。

    私は毎晩、『明日やるべきこと』をスマートフォンのメモに入力してから寝るようにしています。書き出してしまうとリセットできるんです。やることについてあれこれ思いめぐらせて眠れない、という方がいらっしゃるけど、これならぐっすり眠れますよ」

    先の自分や家族も身軽に

    ここ数年、両親を立て続けに見送ってきた井田さんが、新たに見出した暮らしのスローガンがあります。それは「『終活』より『今活』を」ということ。

    ものにあふれた実家の片づけは思った以上に大変で、遺品と向き合いながら、「残されたものの数だけ、涙が流れる」と実感したといいます。

    「ものを大切に」と育った昭和ひと桁世代の両親が、「いつか使える」と取っておいたものたちの整理は、その道のプロの井田さんさえも圧倒したといいます。

    「暮らしていくと、どうしてもものが増えていきます。それは、過去を背負っていくということ。でもそれが『いま』を圧迫したり、窮屈にしたりしてはもったいない。

    いつともわからない終点に向かう『終活』ではなく、毎日、その場で要・不用を判断して、適量で暮らす習慣をつける『今活』が大事。日々の小片づけを続けていれば、気が重くなる『終活』なんて必要なく、身軽で自由な老後を楽しむことにつながるはずです」



    〈イラスト/柿崎こうこ 構成・文/鈴木麻子〉

    画像: 先の自分や家族も身軽に

    井田典子(いだ・のりこ)
    整理収納アドバイザー。「片づけの達人」「スーパー主婦」として、片づけや時間の使い方に関するアイデアを発信。『今やるのが、いちばんハヤイ! 人生が整う「小片づけ」』(主婦と生活社)など著書多数。YouTubeチャンネル「井田典子 だわへし整理術」も好評。
    井田典子YouTubeチャンネル だわへし整理術

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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