• 思いがけず病気になり、食生活を見直すために薬膳の勉強を始めたタレントの麻木久仁子さん。東洋医学の深さを知るにつれ、「健やかに生きる手立てとして、多くの人に広めたい」という気持ちが芽生えたといいます。タレント活動の傍ら、国際薬膳師などの資格を取り、昨年から放送大学で健康全般について学んでいます。

    自分に合う「食」を選ぶことが薬膳。その奥深さを伝えたい

    ── 病気になられてから薬膳と出合ったということですが、どなたかに勧められたのでしょうか

    いえ、たまたまです。がんを克服するためにも食事で体を労わろうと思い、なんとなく目に留まった薬膳の教室に見学に行ってみたのです。

    それまで薬膳に「古めかしくて小難しい」イメージを持っていましたが、まったくの誤解でした。

    薬膳では、すべての食材にそれぞれ力が備わると考え、特定の食材を制限することはありません。何でも食べていいんです。

    画像: ── 病気になられてから薬膳と出合ったということですが、どなたかに勧められたのでしょうか

    大事なのは、その時々で自分に合った食材や調理法を選ぶこと。昨日食べ過ぎて胃が重いから、今日はおかゆにしよう、唐揚げじゃなくて蒸し鶏にしよう。

    体が冷えているからコンビニで買うお茶をホットにしよう。そうした選択が、もう薬膳なんです。“いかにも”なクコの実やキクラゲばかり食べなくていいの(笑)

    簡単だし、ちょっと現代的でしょう?

    ── なんでも食べていいというのは驚きました。自分に合うものを見極めることがキモなのですね

    今日の自分にフィットするものを知るには、日々、自分と対話することが必要です。気分や体調、なにをどれくらい食べたいか、細かく問いかけます。

    対話が習慣化すれば、体のささいな異変にも気づくことができて、深刻な不調や病気の予防になり、ひいては自分らしい生き方にもつながっていく。

    薬膳のそんな考え方が、モヤモヤして落ち込んでいた心にストンと落ちたのです。

    また、薬膳には「先天の精」「後天の精」という考え方があります。先天の精とは、持って生まれた生命力のことで、丈夫な人とそうでない人がいるように、人それぞれ違います。

    一方、後天の精は、飲食物から得た栄養素で育まれる生命力のこと。つまり、人間の健康は、本来は不公平なものだけれど、自分次第で挽回可能なんです。

    画像: 麻木久仁子さんインスタグラムより@kunikoasagi

    麻木久仁子さんインスタグラムより@kunikoasagi

    人は必ず死に、50代以降は下り坂です。急転直下はしんどいから、坂をなるべくなだらかにして、機嫌よく生きていきたい。

    そう思ったとき、食を中心にした養生は、とても有効だと身をもって体験しました。

    この素晴らしさを多くの人に知ってほしいという思いで国際薬膳師や国際中医師の資格を取り、活動の場も広がりました。

    ※ 前編では、脳梗塞・乳がん・更年期を乗り越えてたどり着いた「ほどほど」の生き方と薬膳との出合いをお届けしています。



    <撮影/星亘 取材・文/熊坂麻美>

    麻木久仁子(あさぎ・くにこ)
    1962年11月12日、東京都生まれ、学習院大学法学部中退。知性派タレントとしてクイズバラエティ番組を中心に出演する他、司会、コメンテーターとしても活躍。2010年に脳梗塞、2012年に初期の乳がんが見つかったことから、検診の大切さや自身の体験を、講演会や情報番組などで伝えている。そんな経験から食事を見直し、中でも「薬膳」に興味を持つ。その後、国際薬膳師、国際中医師の資格を取得。2020年には温活指導士の資格、2021年には登録販売者の資格も取得。タレント業の傍ら、食を通して「体を温め、免疫力を高める」という考えや食事などを多方面で提案している。著書に「おひとりさま薬膳』(光文社)など。

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    「薬膳料理」と聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。「体によさそうだけど、おいしくない」「体によさそうだけど、食材が手に入りにくそう」「体によさそうだけど、調理が難しそう」......日々の生活に取り入れるとなると、ハードルが高そうに感じられるけど、実は全然そんなことはありません。 春夏秋冬、季節ごとにあなたのタイプに合わせてかんたん薬膳をご紹介します。 毎日のごはんで元気なからだはつくられる。体を温め、不調の原因を取り除こう!

    ※全レシピ、作り方動画付き



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