コージーミステリを初めて読む人にもおすすめ!
この冬に読みたい、ミステリ小説2選
コージーミステリを読むのは初めて、という方にもおすすめしたい、この時季にぴったりなミステリ作品を2冊選んでみました。冬の読書タイムにいかがでしょうか。
舞台はホワイトハウス! 大統領の食事が垣間見えるミステリ小説
1冊目は『厨房のちいさな名探偵』ジュリー・ハイジー著、赤尾秀子訳(原書房)。
舞台はアメリカの大統領とその家族が暮らすホワイトハウスです。
アメリカ大統領選があった2024年は何かと注目を集めたホワイトハウスですが、普段大統領がそこで何を食べているのか気になりませんか?
その様子が垣間見えるのが、この作品の大きな魅力です。
主人公はホワイトハウスの料理人。図らずも事件に巻き込まれ、張り詰めた日々を過ごすなかで、癒やしとなるのが大好物のチョコレートチップクッキーです。
どんなに手の込んだ料理でもお菓子でもつくれるはずの、ホワイトハウスの料理人が愛するのは素朴なチョコレートチップクッキーというところが微笑ましいですよね。
心癒やされる、ぬくもりある食べものをアメリカでは「コンフォートフード」と呼びますが、不動の人気を誇るこのクッキーは、コンフォートフードの代表のような存在です。
クリスマスのお菓子やドリンクがたくさん登場!
ホリデーシーズンに読みたい一冊
もう1冊おすすめしたいのは、クリスマスが近づくニューヨークを舞台にしたミステリ『聖夜の罪はカラメル・ラテ』クレオ・コイル著、小川敏子訳(原書房)です。
主人公はニューヨーク・マンハッタンのコーヒーハウスのマネジャー。
ページをめくるとふわっとコーヒーの香りが漂ってくるような、そんな感じがするくらいコーヒーがたくさん登場する作品です。
クリスマスを目前に控えたある日、事件に巻き込まれた主人公の仕事のシーンにもプライベートのシーンにも、ホリデーシーズンならではのお菓子やドリンクがたくさん描かれています。
中でもクリスマスらしさを感じるのが「エッグノッグ」。
牛乳やクリーム、卵をベースにし、ナツメグやシナモンで香りをつける、アメリカのクリスマスの定番ドリンクです。
カスタードを思わせるこの濃厚なドリンクの風味は「エッグノッグ・フレーバー」として親しまれています。
クリスマスが近づくとスーパーにはエッグノッグのボトルがずらりと並び、ベーカリーやカフェのマフィンやクッキーなどの焼き菓子、それからコーヒーなどのドリンクもエッグノッグ風味だらけになります。つくりかたもご紹介しますので、ぜひお試しください。
※ 本記事は『アメリカ菓子とミステリ』(原書房)からの抜粋です
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ミステリ小説のなかに登場する伝統的な「アメリカ菓子」。 菓子にまつわる名場面とともに、とっておきのオリジナルレシピを紹介。知ると楽しいアメリカの日常と菓子文化が見えてくる!
ミステリ小説のなかで、素人探偵たちが情報を得るために作るちょっとした美味しい「ワイロ」や、祝祭日を家族で祝うためのお菓子、忙しい事件捜査の合い間に作る日常のお菓子などなど。どうして主人公はこの場面でこのお菓子を作るの? どうしてこんなに短時間で作れるの? そんな疑問を解消しながら、小説のなかに登場する味や日常を楽しく味わえる1冊です。
原 亜樹子(はら・あきこ)
菓子文化研究家。製菓衛生師。アメリカの高校へ留学。東京外国語大学で食をテーマに文化人類学を学んだ後、特許庁へ入庁。後に菓子文化研究家へ転身。『アメリカ菓子とミステリ』(原書房)、『アメリカ菓子図鑑』(誠文堂新光社)、『子どもだけでつくれる 焼かないお菓子』(東京書籍)ほか著書多数。
インスタグラム:@exploring_american_food
ウェブサイト:https://haraakiko.com/