• 国語講師の吉田裕子さんに、美しい日本語を使うために覚えたい「大和言葉(やまとことば)」を教えていただきました。大和言葉には細やかな感情を表す表現が多く、会話に取り入れると柔らかな印象に。本記事では、「喜びを伝えるとき、慰めるとき、断るとき」など、生活のさまざまなシーンで役立つ15の大和言葉をご紹介します。
    (『天然生活』2017年9月号掲載)

    気持ちを穏やかに伝えることができる「大和言葉」

    画像: 気持ちを穏やかに伝えることができる「大和言葉」

    感動も断りの言葉も、ストレートに伝えるより、角のない大和言葉で伝えるほうが柔らかく聞こえます。

    大和言葉は、もともとは和歌のことを表す言葉でしたが、そこから意味が広がって、訓読みの言葉全般をさすようになったそう。

    たとえば、中国から伝わった音読みの漢語は「幸運」、外来語は「ラッキー」、これが大和言葉だと「幸い」です。

    「同じ意味でも、大和言葉の響きは柔らかく、奥ゆかしく聞こえます。

    大和言葉には細やかな感情を表す絶妙な表現が多く、相手に自分の気持ちを、的確かつ穏やかに伝えることができるのです」と話すのは、国語講師の吉田裕子さん。

    会話の一端に大和言葉をプラスすると、“できる大人の女性”といった印象になります。

    柔らかな印象を与える「大和言葉」の使い方

    感動も断りの言葉も、ストレートに伝えるより、角のない大和言葉で伝えるほうが柔らかく聞こえます。

    感動や喜びを伝えるときに使いたい大和言葉

    この上なく

    これ以上のものはない、最上である、という意味の言葉。「すごく〜」「超〜」という今時の表現よりも大人びて聞こえ、あらたまった場面で重宝します。「ことのほか」も、同じ状況で使いたい上品な表現です。

    おみそれしました

    相手の技量や能力を見誤っていたことをお詫びしつつ、同時に相手をほめるという含みがあり、日本語らしい言葉。目上の人に「さすが!」「すごい!」は使いづらくても、これなら相手を立てた表現になります。

    心打たれました

    「感動しました」というよりも、内面の動きをストレートに、肌感覚で伝えることができます。「胸に迫る」、「心が震える」、「琴線に触れる」なども覚えておきたい類似表現。豊かな感受性にあふれた、深みのある言い方です。

    幸先がよいですね

    「幸先がよい」は、よいことがありそうな、という意味。単に「うまくいきそう」というより、順調に物事が進みそうな兆しを、ともに喜ぶ響きがあります。文字どおり、幸せが先にあるような明るいフレーズです。

    心待ちにしております

    期待しつつも、心中ひそかに待つこと。「期待しています」よりも奥ゆかしく、かえって期待の大きさが感じられます。「お誘いを心待ちにしております」といえば、相手を立てつつ、折り目正しい印象に。


    〈監修/吉田裕子 取材・文/宇野津暢子 イラスト/松尾ミユキ〉

    吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
    国語講師。東進ハイスクールで古典を指導しつつ、毎日文化センターなどで大人向けの古典講座・エッセイ教室も担当する。担当音声配信Voicy「毎朝古典サプリ」などメディアの発信にも努める。著書に『思いが伝わる語彙学』(KADOKAWA)amazonで見る など。三鷹古典サロン裕泉堂を運営。

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    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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