(『天然生活』2021年3月号掲載)
小さなスペースで始める家庭菜園
土を耕さず、無農薬で、雑草を生かす。自然となるべく共生する家庭菜園の方法を「自然菜園」と呼び、講習会などで広く伝えている竹内孝功さん。
最小限、庭に1m²のスペースやベランダにプランターがあれば、季節に応じた収穫が楽しめるといいます。
「家の庭は、大きなプランターだと思ってください。畑ほど根は張れませんが、相性のいい野菜同士を植えれば仲よく育ちますよ」
>> 庭で1㎡で始める、家庭菜園の年間プラン
土を育てる自然菜園のコツ
Q. 冬の間は?
A. 鍋に活躍するねぎを育てながら土の状態を改善
ねぎを植えて土を消毒
スーパーなどで根っこ付きのねぎ(種類は何でもよい)を買い、上だけ料理に使って、下15cmはミニトマトを植えた場所、翌年植える予定の場所に球根のように植える。
やがて新芽が伸びてまた食べられるうえに、ねぎの共生菌が病虫害や連作障害を予防してくれる。
Q. 来年は?
A. 野菜選びに工夫をしているから、来年も同じプランが楽しめます
90度ずらせばまたトマトが植えられます
通常、同じ科の野菜を続けて栽培すると、うまく育たない(連作障害)。
でも、この菜園プランなら植える場所を90度ずらせばOK。
翌年、ミニトマトの苗を植える際、根っこ付きのねぎ2本を一緒に植えると栽培が安定する。
Q. 土づくりは?
A. 最初の年だけ土を掘り野菜の根が育つ環境をつくる
20cm掘る
1×1mの広さで場所を決め、雑草が生えていたら刈り取って積んでおく。
日が当たらない場所や、繁殖力の強いミントが生えている場所は避ける。
20cmほど土を掘り起こし、根が張れる空間をつくる。
土を足す
まず、水はけを助けるため、赤玉土と腐葉土を1対1で混ぜたものを、底に3〜5cm敷く。
掘り出した土に腐葉土2LとBMようりん100g、プランターの土20Lを混ぜて戻し、野菜が育つ環境にする。
10cm高くする
土を足すことで、10cmほどの高さが出たら四角く整え、表面を押さえて平らにする。
雨が降ったときに水はけがよくなり、周囲よりやや日当たりもアップ。
作物が育ちやすいように整えたこの状態を「畝(うね)」という。
Q. 雑草は?
A. 庭に雑草はつきものですが、じゃまものにせず、生かします
よく育つ土
生えている雑草で、土の状態が判断できる。
上記やナズナ、ハキダメギクなどが生える土は、ミニトマトやキャベツはもちろんほとんどの野菜が育ちやすい。
ふつうの土
こぼれ種で育つ野性味の強い野菜は、よく育つ。
ミニトマト、サニーレタス、ハーブ類、にらなどが該当。今回のプランでは土づくりの際、腐葉土をやや多めに。
育ちにくい土
上記のほか、白クローバー、アザミ、カタバミ、オオバコなどが生えていたら、酸性が強くやせた土。
腐葉土やプランターの土を多めに混ぜ、畑に近い土に。
雑草を抜いたら1カ所に積み上げて土に還す
抜いた雑草は庭のすみに積み上げると、1年ほどで土に還る(草堆肥)。
翌年以降、草堆肥で土の表面を覆いながら栽培すると、保湿を高め、土の温度変化を抑える効果が(草マルチ)。
なお、庭の落ち葉をすぐ菜園の土に混ぜるのは、病虫害が増えるので避ける。
<監修/竹内孝功 イラスト/小春あや 構成・文/石川理恵>
竹内孝功(たけうち・あつのり)
自給自足Life代表。20年以上にわたり自然農法を実践。『1m²からはじめる自然菜園』(学研プラス)、『コンパニオンプランツで失敗しらずのコンテナ菜園』(家の光協会)などの著書を持つほか、自然菜園教室を主宰し、現在はオンラインセミナーも展開中。https://shizensaien.stores.jp/
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです